| 藁谷雅喜先生の連載コラム
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■ Mail Magazine《学研/首都圏中学受験ニュース》の連載から
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┃中┃┃学┃┃受|┃験┃┃の┃┃ズ┃┃バ┃┃リ┃┃!┃┃急┃┃所┃
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│第15回│ ■ 子どもを信じて冷静に見守ることがファインプレーを生む
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(2010年1月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 1月になっても1日1日を大切にして勉強に取り組もう
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1月になると、10日からは埼玉、20日からは千葉で入試が始まり、時間が
あっという間に過ぎてしまいます。そのなかでなんとなく流されて、地に足
がつかず、漠然と過ごしてしまうことになりがちですが、この1月こそ1日1
日を大切にして合格必勝作戦を立てていってほしいと思います。
そうすれば、1月からでもまだ得点力を上げられます。埼玉や千葉に住ん
でいて、埼玉や千葉の学校が本命というのであれば、ピークを1月に持って
いかなければなりませんが、そうでなければピークは2月1日に持ってくるべ
きで、それには1月の過ごし方が大切になってきます。1月の過ごし方次第で
逆転劇は起こります。
1月のメニューの立て方としては、志望校合格のために足りないこと、こ
れから必要なことを紙に書き出して、それに優先順位をつけて、一つ一つこ
なしていき、やり終えたら線を引いて消していくという方法をおすすめしま
す。ただ、あまり欲張らないこと。これまでも何度もお話していますが、入
試では満点を取る必要はありません。合格最低点を取れば合格できるのです
から、合格最低答案を書けるようにすればいい、最低限のことだけを確実に
やればいいという気持ちで取り組みましょう。
※ 最後まで努力を続けた子たちだけがファインプレーを可能にする
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
このように、1月の勉強を冷静に一つ一つ伸ばしていった子、2月の本番の
当日まで一途に努力を続けた子たちが、最後の最後にファインプレーを生み
ます。私の塾でもそうしたファインプレーをいくつも見てきました。
たとえば昨年、1月の試し受験の学校に落ち、2月1日には私が“へそ”と
思っていた本命校、2日にはその子の偏差値からすると19上の憧れ校にとも
に落ち、3日にも1日に受けた本命校に再び落ちながら、4日に2日に受けた偏
差値19上の憧れ校に再挑戦し、見事に合格した子がいました。まさに奇跡的
なファインプレーです。
でも、私はこの結果を決してまぐれで起きたとは思っていません。その子
が1月の試し受験を落ちた時も、私はもともと内心五分五分と思っていまし
たから、「こんなこともあるよ」とだけ言って、落ちたことをあまり深追い
せず、「でも、やることは変わらないよ。2月1日の合格を目指してがんばろ
う」と言いました。
そして、本番前日の1月31日にその子の算数をマンツーマンで見てあげた
ら、字の書き方もいいし、スピードもあるし、しっかりやれていました。6
年生になって大手塾から私の塾に移ってきた子で、オロオロしていて、じっ
くり考えることができない子だったのですが、そのときは間違えた問題もこ
れは違うと×をつけると、すぐにどこを間違えたかに気づいて、やり直して
正解しました。その様子を見て、こんなに成長し力をつけたのかと感動し、
きっとやってくれると思いました。だから、最後のファインプレーは、私か
らすれば起こるべくして起きたことだったのです。
こんな子もいました。2月1日早稲田、2日学習院、3日早稲田(2)、4日立教
新座(2)、5日本郷(3)という受験をした子で、本人の持ち点(偏差値)から
いえば安全校なしの、全滅しかありえないというと受験パターンで、実際に
全滅でした。ただ、かろうじて4日の立教新座(2)の補欠の27番目に引っ掛か
り、1週間後に繰り上がり合格の通知が届きました。最後の繰り上がりでし
た。無謀といわれれば無謀な受け方に違いありませんが、どうしても早稲田
ということで、この子もやはり最後の最後まであきらめることなく精一杯や
りました。
だからこそ、早稲田には届かなかったものの、最後の最後に立教新座の繰
り上がりを呼び込むことができたのだと思います。しかも、入試ではいちば
んビリで合格したわけですが、入学後の最初の試験では数学が100点満点で
学年トップ、全教科を合わせた成績でも学年で5番だったそうです。入試直
前の頑張りで学力をぐーんと伸ばした子というのは、入学後もさらに学力を
伸ばしていくケースが多いのです。だからこそ最後まであきらめずに、冷静
に受験勉強に取り組んでほしいと思います。
※ ファインプレーとは反対のケースもある
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もちろんうまくいくケースばかりではありません。特に、今でもなぜあそ
こで反転したかという教訓とすべき失敗例がありました。その子は大手塾の
模試で年間偏差値72ぐらいという、私が今まで教えてきたなかでも5本の指
に入るくらいできる子でした。お父さんが高校の数学の先生で、算数はお父
さんが教えていたようですが、国語の記述がちょっと心配ということで、12
月から1月にかけて私がマンツーマンで開成対策の記述の指導をしました。
それだけできる子でしたから、改めて教えることはなくて、私が教えたの
は、「文章がうまいかどうかなんか気にするな。きみが思いついたことを精
一杯書いてくれば大丈夫。ただ、白紙だけはダメだぞ」といった、もっぱら
メンタルなことでした。そして、国語は大丈夫と私は太鼓判を押しました。
ところが、その子が開成に落ちて、城北に行くことになったという連絡を
お母さんからいただいてびっくりしました。いったいどういうことなんです
かと尋ねると、2月1日の開成の入試で算数が2問しかできず、2問以外は全部
白紙だったそうです。これではもちろん絶対に受かりません。あれだけでき
る子が2問以外白紙だったということは、算数の指導にもどこか問題があっ
たのではないかという気がしてならないのですが、それ以上に問題だったの
は開成の不合格に親が動揺して、その後の受験校を急遽変更してしまったこ
とでした。
3日は筑波大駒場を受ける予定でしたが、開成の試験が終わって出てきた
ときの本人の顔が真っ青だったのを見て親も動転し、泣きじゃくる本人を前
の晩に説得して、3日は海城を受けさせたそうです。でも、海城にも受かり
ませんでした。なぜかといえば、海城の過去問対策を十分にしていなかった
からです。万一のことも織り込んで、3日に海城の2次をうけることを想定
した対策を立てなかったのです。
親としては、子どもの様子を見て安全策をとったつもりでしょうが、これ
がむしろ裏目に出ました。結局、偏差値が高い低いだけで難易を判断してい
るからでしょう。私は開成に受かっていなくても、予定どおり筑波大駒場を
受けていれば、合格していたのではないかと思っています。開成と筑波大駒
場では入試のタイプが違うのですから、開成に落ちても筑波大駒場に受かる
ということは十分にありうるのです。開成に落ちたから、筑波大駒場をやめ
るというふうに恐れる必要はなかったのです。
※ 途中でどんな状況になっても最初の方針を絶対に変えない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
これはファインプレーの逆です。ファインプレーは、合格を信じて最後ま
でやり抜く心があって初めて可能になりますが、親も最後までやり抜くわが
子を信じて最後まで冷静に見守る気持ちがないと、ファインプレーは生まれ
ません。途中の結果がどうであっても、親は子どもを信じて、最初に決めた
方針を変えてはいけないのです。先の結果は親の采配ミスがもたらしたと
いっていいでしょう。
そうはいっても、親というのはどうしても子どもの真っ青な顔を見てしま
うと動揺して、ぶれてしまうものです。そうならないようにするには、最初
から最悪のパターンも想定しておき、その場合でも絶対にぶれずに方針を変
えないという覚悟をしておく必要があります。それには冷静に見守り、入試
に突入したら親の体温で変えることなく作戦を遂行するということが大事で
す。
野球でもサッカーでも、監督がベンチで頭に血が上ってミスをした選手を
にらみつけたり、もうダメだといって背中を向けているようでは、最後に奇
跡のファインプレーは生まれません。やっぱり最後まで選手を信じて、しか
も冷静に采配をして見守ることで、初めてファインプレーが可能になります。
監督がそういう態度を示してこそ、選手も萎縮することなく、思い切って力
を発揮することができます。
入試も同じです。親が冷静さを欠いて子どもの横でガミガミ言ったり、あ
るいは投げやりになって「こんな状態では次の学校も無理」と嘆いているよ
うでは、子どもがよい結果を出せるはずがありません。親が子どもを信じて
冷静に見守ることで、子どもはたとえ苦戦が続く状況でものびのびとした気
持ちで入試に臨むことができ、力を出すことができます。それが最後のファ
インプレーにつながっていくのです。
中学入試は、非常に我慢を強いられる苦しい戦いであった“日露戦争”の
ようなものだと思っています。はっきり勝ったとは言えないけれども、不利
と言われながらぎりぎりのところでかろうじて日本が勝利をもぎ取ったのは、
絶対に負けてはならないという強い気持ちがあった
からです。昨年末には、NHKテレビでも日露戦争をク
ライマックスとするドラマ「坂の上の雲」の一部が /⌒ヽ彡
放送されましたが、受験生の皆さんも自分の「坂の <)∂ ゝ
上の雲」を目指して、最後までがんばってください。 ⌒ヽ‐/⌒フ
そして、笑顔の春が迎えられることをお祈りしてお ⌒( ミ彡
ります。 _」」
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(2010年1月10日配信)
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│第14回│ ■ 最後に合格をつかみとる「藁谷式追い込み勉強」
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(2009年12月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 本番まであと2か月、もう一度勉強の基本に戻ろう
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12月になり、2月の本番まであと2か月。1月入試となると、あと1か月で始
まります。もう時間がないということで、まだやっていない過去問をやるの
に躍起になっている受験生も多いことでしょう。しかし私は、この時期にな
ったら、過去問をやる以上に、もう一度勉強の基本に戻ることのほうが大事
だと考えています。
これまでにいろいろな模擬試験や合格判定テスト、さらに毎週の塾のテス
トなど、いろいろなテストを受けてきたはずです。特に9月以降は、過去問
対策も含めれば、お子さんにとっては毎日のようにテストを受けてきたよう
な感覚でしょう。それはプロ野球のペナントレースをやっているようなもの
ではないでしょうか。
そういう状況の中では、毎日の試合に勝つことに必死で、その場しのぎの
バッティング、ピッチングでなんとかごまかしていくということになりがち
です。そして、本人が気付かないうちに、本来のフォームが崩れている、軸
足がズレてしまっているというような狂いが生じていて、思うようなバッテ
ィングやピッチングができなくなっている状態に陥ってしまうということが
起こります。
つまり、テストの得点を出すことばかり気にしているうちに、勉強の基本
がおろそかになってしまい、入試本番でも力が発揮できない状態になってし
まう心配があります。だからこそ、この時期にもう一度基本に戻って頭をま
とめる、整理するという調整が必要なのです。
※ これまでやってきたテキストの目次でチェックしていく
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ただし、基本に戻るといっても、じっくり時間をかけてそれまでやってき
た勉強を遡って復習するという夏休みの勉強とは違います。基本的なことを
忘れていないか確認する作業ですから、算数の場合ならこれまでやってきた
テキストの目次を見て、目次の中の各単元・項目にどういうことが書かれて
いるかを一つ一つチェックして、わかっていると確認できた単元・項目は斜
めの線で消していくというのがいいでしょう。
わかるものはどんどん消していって、わからないものを減らしていくこと
で、不安を取り除いていくのです。そして、どんなことが書いてあるか思い
出せない単元・項目、何か引っかかる単元・項目についてのみ、そのページ
をめくって例題を解いてみましょう。
理科や社会も同様に、これまでやってきたテキストの目次をチェックして
いく方法が有効ですが、暗記しておかなければいけない知識については4科
のまとめといった薄いテキストでチェックしていくといいでしょう。
国語なら、まず漢字や語句関係の知識問題をチェックしましょう。長文読
解の問題については、そういうチェックをする基本的なことというのはあま
りありませんが、勉強のやりようはあって、場面分けができるようにするこ
とがカギになります。たとえば物語文なら、「いつ、どこで、誰が、どうし
た」、つまり時の変化、人の変化、場所の変化、事件・出来事の前後といっ
たことを見つけることが場面を分けるポイントなので、それらを見つける訓
練をするといいでしょう。
これまでやってきたテキストやドリル、テストで×をもらった問題に絞っ
て復習すれば量的に絞れます。特に、過去問を含めてテストの間違えたとこ
ろの見直し、やり直し、覚えるという作業をすることが重要です。全てでき
るようにならなくてもいいわけで、合格するにはどの問題をあと何点という
ように1つ1つチェック、仕分けすることが効果的です。
※ 過去問対策をやるなら、これからは「Bパターン」がおすすめ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もちろん過去問をやることも必要です。特に第1志望校や自分の合格作戦
の中でこの学校の合格はどうしてもとらなければならないと思う、私の言い
方でいえば“へそ”となる学校の過去問は、5年分、6年分とやっておきた
いところです。しかし、過去問を4科目きっちりやるとなると、かなり時間
が必要で、受験するすべての学校について、5年分の過去問をやることは無
理です。
すべて3年分やることだって難しいでしょう。特に2月の本番に向けての
ステップとして受ける1月入試の学校であれば、1年分しかできなくても仕
方ありません。
前回私は、過去問の直近3年分の出来具合で合否を判断し、最終的な志望
校選定の根拠にするべきという話をしました。でも、受験校が決まったなら
ば、過去問をこなすことにこだわる必要はありません。
入試直前の受験生の心理としては、過去問をまだやっていないということ
を心配して、過去問をこなすことに汲々として焦ってしまうのもわかります
が、過去問はすでに出た問題なのですから、来年は同じ問題は出ないと割り
切り、これからは来年の入試で出そうな問題をやればいいんだというふうに
気持ちを切り替えるべきでしょう。
過去問をやるならば、入試本番と同じように各教科を実際の試験時間で解
いていく(私はこれを「Aパターン」と呼んでいます)のではなく、たとえ
ば算数の大問1で計算問題が4つ出ているならば、大問1の計算問題ばかり
5年分ぐらいざっと解く(私はこれを「Bパターン」と呼んでいます)のが
いいと思います。
このBパターンで解いていくと、いつも形の悪い数字の分数の答えが出る
ぞとか、分配の法則を使うとか何か工夫すればやれる問題が出ているぞとい
った、その学校の計算問題の難易度や出題のくせなどの傾向がつかめます。
そうしたら、今度は似たような問題をやることで、本番に向けての対策の勉
強ができます。
その場合、似たような傾向の学校の過去問をやるのがおすすめです。たと
えば、共立女子の算数ならば大問2で1行問題が7問出ますが、似たような
1行問題が香蘭女学校では大問2で14問出ます。だから共立を受けるなら、
香蘭の大問2を何年分か続けてやってみると、よい対策になります。図形の
問題は視覚的にも一目で見つけやすいので、類似問題が探しやすいでしょう。
社会なら地形図や写真、理科なら実験の図やグラフなどがある問題、国語な
ら詩の問題や語句関係の独立問題などもそうです。
このように分野別、傾向別に重点・集中的に取り組むのがBパターンで、
全教科で有効です。志望校の出題傾向がどの学校と似ているかは、塾の先生
にアドバイスしてもらうといいでしょう。基本的なことを確認し、基本の穴
を埋めながら、Bパターンの過去問対策で自分の志望校の傾向に合わせた勉
強をすることで、最後の2か月でもまだまだ得点力はアップしていくはずで
す。
※ 4教科をバランスよく勉強するのが合格への近道
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
冬休みは、最後の仕上げの勉強のカリキュラムが組まれている塾の冬期講
習を大いに利用しましょう。そして、冬期講習は朝から参加することをおす
すめします。というのは、冬休みは学校の授業がないので、どうしても夜型
の生活になりがちです。でも、冬休みが終わればすぐに1月入試も始まるだ
けに、朝型の生活をキープしたいもので、それには朝から始まる冬期講習が
効果的です。夜型の生活になっているお子さんの場合も、冬期講習を利用し
て、ぜひ朝型に立て直したいところです。
毎朝起きたら計算や漢字のプリントを1枚やるというのも日課にすると、
なお効果的でしょう。午前中に講習がない場合なら、自分で午前8時30分か
ら志望校の過去問を4科目Aパターンで解く時間に使ってもいいと思います。
それから、冬期講習が終わると気が抜けて元に戻ってしまい、ついだらだ
らとテレビを見てしまうようなお子さんもいるようですが、最後まで手を緩
めずに2月の本番まで勉強を続けることが大事です。それには寝る前にやる
勉強というのも決めておくといいでしょう。4科のまとめをチェックする。
ノートに書き出した理科・社会の記述のまとめを読み返す。算数の基本例題
を解く。あるいは応用問題を1題解いて寝るというのでもいいでしょう。夜
更かしはしたくないので、あまり長引かないようなものがいいでしょう。
また、この時期というのは1つの教科に重点がかかっていきがちですが、
できるだけ偏らずに4科目をやるようにしたほうがいいでしょう。特に得意
なものには時間をかけないでほしいと思います。子どもに任せておくと、ど
うしても得意な教科ばかりやりたがります。
算数が得意な子なら、算数で点数を稼ごうと考えて、算数の勉強に偏って
しまったりするのですが、得意教科の点数をさらに伸ばすというのは難しい
ものです。それよりは、理科、社会、国語の勉強にもっと時間を割き、苦手
教科に力を入れたほうが得点力を伸ばせます。苦手な教科から逃げて、好き
な教科だけやって点数をかせごうとするのは、私から言わせれば“敗北主義”
です。そういう気持ちに陥っている子に対しては、「猿は木から落ちる」と
いう言葉を投げかけたいと思います。
「猿“も”木から落ちる」ではなく、「猿“は”木から落ちる」です。これ
は逆説ですが、猿は木からしか落ちないのです。つまり、得意なものでこそ、
失敗することがあるもので、それに足元をすくわれないようにしなければな
りません。それには得意な算数だけでなんとかしようという考え方はやめて、
どの教科にも力を入れてほしいと思います。
中学入試では満点は要りません。合格最低点でも合格に変わりないのです
から、最後まで4教科をバランスよく勉強することのほうが、結局は合格へ
の近道になるはずです。
矛盾するようですが、特に算数が苦手な女の子がいましたら、あまり算数
ができないことを苦にせずに、合計点で考えましょう。他教科であと何点稼
げそうかを分析したうえで、算数ではあと何点上積みすれば合格できるのか
を探ります。もし算数で15点だとすればあと3問、どれがやれそうかを吟味
し、その問題の種類、レベルに絞って集中的にやりましょう。これは苦手科
目のある受験生、あるいは合格ラインに未だ届いて
いない受験生全てに共通して言えることだと思いま /⌒ヽ彡
す。1日1日を大切にして、あと10点、あと5点、 <)∂ ゝ
あと1点と合格へ競り上がっていくイメージで進み ⌒ヽ‐/⌒フ
ましょう。まだやるべき対策はたくさんありますの ⌒( ミ彡
で、合格を信じてがんばってください。 _」」
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(2009年12月10日配信)
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│第13回│ ■ 志望校を最終的に絞り込み、合格の軌跡を描こう
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(2009年11月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ この時期、もう一度原点に戻って志望校を検証し直そう
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
11月に入り、6年生にとっては入試まで残り3か月を切りました。ここま
で、親御様はあの学校に行かせたいとの思いでわが子の受験勉強をサポート
してきたと思いますし、お子さんはお子さんであの学校に行きたいとの思い
で受験勉強に取り組んできたことでしょう。中学受験ではそうした夢を最後
まであきらめない気持ちがとても大事で、それが合格への原動力にもなりま
す。
しかし、いよいよ志望校を絞り込んでいかなければならないこの時期にな
ったら、夢だけを見ているわけにはいきません。現実的なことを見ていかな
ければなりません。
このまま順調にいけば、第1志望校に合格できそうだという感触を持って
いる場合であれば、その夢の実現に前向きな気持ちで志望校を絞り込んでい
くことができるでしょう。でも、この時期に来て、第1志望校はちょっと厳
しそうだと感じている親御様も少なくないと思います。そうなると、行かせ
たい学校はあってもその学校には程遠いという不満や鬱憤がたまり、冷静で
はいられなくなったりします。そうなると、なかには支離滅裂なことをする
親御様も出てきます。塾を掛け持ちし、土曜日曜を掛け持ちし、午前午後を
掛け持ちし、さらに空いているところに家庭教師を入れて、そのうえ大手塾
の個別指導も勧められてそれまで入れてしまう。それでもまだ不安で、あと
ほかにやることはありませんかと聞いてくる始末です。動けば動くほど底な
し沼にはまっていくようにしか見えません。
しかし、そんなときこそ冷静になって、どんな受験をしたいのか、誰のた
めの受験なのか、どういう学校に行かせたいのかといった原点にもう一度戻
って、原点を再確認することが必要です。そして、その原点に立ち返ったと
きに、その志望校で本当にいいのかということを検証し直してほしいと思い
ます。そこからしか合格作戦は生まれません。
※ 直近3年分の過去問の出来具合を最終的な判断材料に
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もう一度冷静になって志望校を検証する際には、親が行かせたいと思う学
校、子どもが行きたいと思っている学校、塾からすすめられている学校、そ
うした志望校候補の学校すべてを、試験日ごとに紙に書き出してみましょう。
あるいは試験日ごとになっている偏差値表一覧を広げて、そうした志望校候
補の学校に蛍光マーカーで色を塗ってみましょう。
偏差値表一覧をみるというと、偏差値で決めるというふうに思うかもしれ
ませんが、そうではありません。あくまで試験日ごとにどの学校を受験でき
るのか、頭の整理をするためです。
志望校を選ぶ際、親御様はどうしても偏差値優先になりがちです。しかし、
私は以前にも述べたように、合格可能性を判断するには偏差値よりも過去問
の出来具合の方が重要と考えています。偏差値を否定はしませんが、あくま
で平均的な学力の目安として考えてください。
つまり、その中学を志望する受験生の集まりの学力水準ではあっても、実
際にその中学が求めている学力傾向に合っているかどうかをみる指数ではな
いからです。ですから、親御様にも志望校選定は偏差値にとらわれず、過去
問の出来具合で判断してほしいと思います。そして、その際には直近3年分
の過去問の得点を最終的な判断の材料、合否を占う決め手にするのがいいで
しょう。5校も6校も3年分をきっちりやるのは難しいでしょうが、第1、
第2、第3志望は最低直近の3年分はやってみるべきです。
そして、3年分のうち、3回とも合格最低点を超えれば、たとえ偏差値は
届いていなくても、自信を持って受ければいいし、1回は合格最低点を超え
て、あと2回がもう少しというところなら合格の可能性は十分にあると判断
して、思い切って受けてみるべきでしょう。
3回とも超えていない場合でも、3回とも合格最低点まであと10点以内の
僅差というのであれば、お子さんも十分にやれる気になっているはずなので、
出願ぎりぎりまで粘ってみてもいいのではないかと思います。
また、11月の段階であれば、合格最低点に10%程度、合計300点満点なら
30点ぐらい足りない場合でも合格の射程距離です。平日の勉強で基礎・基本
の力を固めていき、週末は過去問を解いて見直すという方法で毎週積み上げ
ていけば、入試本番までの時間で30点を4教科で埋めていくことは可能です。
そして、そのように積み上げていくことで合格点に近づいているのを実感
できれば、お子さんもさらに意欲が出てきて、その気になってきます。この
競り上がってくる実感、力がついてきたという手応えはお子さん本人が一番
わかるわけで、これが最後まで受験を貫く原動力になって、合格を呼び寄せ
ます。
※ 合格の感触が得られなければ、第1志望を切り替える決断も
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ただ残念ながらそうした感触が得られず、第1志望校のA中学にはやっぱ
り届きそうもないということもあります。その場合、A中学にあまり固執す
るよりも、過去問をやってみて感触がいいB中学というものがあれば、この
時期からでもB中学に第1志望を切り替えるという思い切りも必要です。
もちろんお子さんがそれでもどうしてもA中学を受けたいというのであれ
ば、簡単にA中学をあきらめるべきではないと思います。でも、そういう場
合は教条的になって意地を張ってA中学と言い張っていることが多く、実は
本人も内心では、自分にはB中学のほうがいいかなという気持ちに傾いてい
ることが少なくないのです。
そんなときは、「確かに今まではA中学と思ってきたけど、B中学もお前
には向いているんじゃないか」といった言葉をかけてあげて、お子さんの気
持ちを落ち着かせてあげることも必要でしょう。そうすれば、お子さんも少
し気が楽になり、素直にB中学がいいと言えるようになるものです。
それは決して安易な妥協ではなく、生存競争の中で適者生存、自然淘汰さ
れていくというダーウィンの進化論のようなもので、過去問と真剣に取り組
むことでその子に合った志望校が自然と決まっていくということなのではな
いかと思います。
それから、過去問は自分の得点と合格最低点の比較ばかりでなく、合格に
向けては中身の研究が重要です。志望校ばかりでなく、同じような傾向の問
題を出す類似校の問題にも当たっておきたいところです。そうなると、過去
問の量がさらに膨らんで十分にこなせなくなりますが、過去問は既に出た問
題だという割り切りも必要で、そうしないと精神的に過去問の量に押しつぶ
されてしまいます。
その点で過去問の研究が重要になるわけで、傾向をつかんだら“出た問題”
より“出る問題”に意識を向けていくことが効果的な対策になるでしょう。
類似校の問題にヒントが隠されているかもしれません。そのあたりは塾の先
生に教えてもらうといいでしょう。
※ 第1志望校合格に向けてステップを踏んでいく受け方を
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
第1志望校の合格作戦をより確かなものにするには、それ以外の志望校の
選び方がとても重要です。試験日が早い学校が難易度的に楽な学校というわ
けではありませんから、単純に坂道を緩やかに上っていくというふうにはで
きませんが、ステップを踏んで積み上げながら第1志望校を向かっていくよう
な受け方をしていきたいものです。
それにはなるべく第1志望校と出題傾向が似ている学校を選びたいという
こともあるでしょうし、第1志望校の入試が2月であれば、1月受験で確実
に合格をとれる学校を1校は受けておきたいところです。
それと同時に、1月受験で第1志望校と同格の学校を受けて、本人の覚悟
を決めさせるということも必要です。たとえば御三家レベルの学校を受ける
のであれば、1月は渋谷幕張や浦和明の星女子といった学校を、たとえ遠く
て通うのは難しいという場合でも受けるべきです。そうした学校には御三家
を受ける子たちが多く受けてくるので、同じ顔ぶれと前哨戦として勝負がで
きるからです。
そこで合格を取れれば、第1志望合格の手ごたえを感じることができるで
しょうし、仮に不合格の場合でも、やはり簡単ではないな、2月の受験も厳
しいぞということで、2月1日への戒めになり、緊張感を持続させるエネルギ
ーになります。
また、試験日を考慮するのはもちろんですが、それだけでなく合格発表の
時間まで計算に入れて選んでいく必要があります。特に2月1日以降は薄氷を
踏むような思いで、受験スケジュールが進んでいきますので、そこまで計算
に入れて併願作戦を組むべきですし、実際にそうしたことまで計算に入れた
併願作戦に救われた例が少なくありません。
たとえば2月1日、2日にそれぞれ第1回、第2回の入試がある学校を受け
る子が、1日の夜に第1回入試の不合格をもらったものの、同じ1日の夜に別
の学校の1日午後入試の合格をもらえたために救われて、元気を出して次の
日の第2回入試を受けることができたという親御様がいました。実際にそう
したことで救われたのは、子ども以上に親の方なのです。そうした思いとい
うのは、実際に受験をしてみないとなかなかわからないものですが、そうし
た先輩方の経験をぜひ生かして、併願作戦を考えてほしいと思います。
それから、入試ではどれだけ準備をしていても、予想外のことが起きます。
必ず最悪のことまで考え、2月5日、6日ぐらいまでは入試を行う学校がけっ
こうあるので、最初から5日、6日まで入試をやる覚
悟でいてほしいと思います。4日以降になると、募集 /⌒ヽ彡
人員が少ないので、一見合格が大変なように思えま <)∂ ゝ
すが、3日までに合格をとった受験生は抜けていきま ⌒ヽ‐/⌒フ
すから、最後まであきらめなければ、案外チャンスは ⌒( ミ彡
あるものです。 _」」
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(2009年11月10日配信)
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★連載 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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│第12回│ ■ 答案には顔がある
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(2009年10月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ テストの答案をよく見ると表情がある
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お子さんがテストを受けるたびに、「頭からやっていたら時間がなくなっ
て後ろのほうの問題ができなかった」という言い訳をしていると、親として
は、うちの子は要領が悪い、時間配分ができていないと心配になってくると
思います。確かに6年生の秋になっても、いつまでもそんなことを言っている
ようではとても合格は覚束ないでしょう。
そこで、親御様にやってほしいのが、若い順から今日までのお子さんの答
案を並べて見比べてみることです。すると、鉛筆の字が濃いか薄いか、どう
いう問題で○をもらっているか、×をもらっているか、あるいはレ点(空欄)
なのかなど、いろいろな表情があることがわかります。答案には顔があるの
です。
そして、その顔の表情を見れば、お子さんの学習状況が隠せない事実とし
て浮かび上がってきます。4年、5年、6年という流れでみれば、お子さんの
成長に伴い、答案の表情は当然変化しているはずですし、6年からの半年の
答案を並べただけでも、変化が起こっていなければなりません。ところが、
6年からの半年間、答案の表情があまり変わっていないとしたら問題があり
ます。
実は、そうした答案の表情の裏には、子どもの性格や抱えている問題、さ
らに子どもをバックアップしている親の存在が見え隠れしています。要する
に、親がわが子の学習にどのように介在しているか、言葉をかけているか、
また子どもがどのような気持ちでテストを受けているかが、答案には反映さ
れています。その意味で答案には顔があるのです。
※ 答案の表情から親の存在が透けて見えてくる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たとえば、漢字の書き取りなどでありえないような漢字を自分で創作して、
欄を埋めている子を見かけることがあります。確かになるべく空欄を出さず
に埋めるというのはテストでは鉄則です。でも、知らない漢字を創作してま
で埋める必要はありません。そんなエネルギーや時間があるのなら、わかる
問題の正解率を高める努力をするべきです。にもかかわらず、子どもがその
ようなことをするのはなぜかといえば、日頃から「何か書きなさい」と強く
言われているからだと思います。
また、長い記述の問題はいつも白紙という子もよく見かけます。それはま
ず、ふだんの授業や家庭学習で記述の練習をしているかということに係わっ
てきます。練習していなければ、本番で書けるはずがありませんから。しか
し、なかには授業では記述問題をちゃんと書いているのに、公開模試になる
と全然書かないという子もいます。そういう子にどうして書かないのか聞い
てみると、「だって時間がなかったんだもん」という言葉がまず異口同音に
返ってきます。
その言葉をそのまま信じると、時間配分がちゃんとできていなかったのか
なと思ってしまいますが、よくよく聞いてみると、実は初めから記述問題を
捨てている子が多いのです。ふだんの授業では書いているのに公開模試では
書かないというのは、何か精神的な問題があると疑わざるをえません。そし
て、その子の背景をよく見てみると、そこにはたいてい、テストのたびに
「何、この点数は!」と子どもを叱りつける、点数にうるさいお母さんの存
在が見えてきます。
※ 模擬試験では得点にこだわりすぎず、記述問題にもチャレンジを
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
確かに、「80字で書け」とか「場面の変化を踏まえて。主人公の気持ちの
変化を書け」といった記述問題は、労多くして功少なしだと思います。そう
した記述問題を解答するにはけっこう時間がかかりますが、その労力の割に
は必ずしも配点が高くはありません。それよりは同じ時間で記号選択の問題
を何問も正解したほうが、点数を稼ぐという点では効率的です。点数が悪い
と厳しく叱る親におびえている子(なかにはお母さんが怖いといってボロボ
ロ泣き出す子さえいます)が、点数を稼ぐことを優先して記述問題を捨てて
しまうのも無理からぬものがあります。
テストは点取りゲームですから、記述が苦手ならそれを捨てて、ほかで点
数を稼げばいいのかもしれません。しかし、記述以外の問題をしっかり解け
るようにすれば、合格が勝ち取れるかといえば、私にはそうは思えません。
というのは、これまで中学受験をする子どもたちの答案を見比べてきた経
験からすると、それぞれの子どもの正解率というのはあまり変わらないもの
だからです(もちろん努力がついてくれば正解率も高まっていくわけですが
…)。正解率が7割の子はいつもだいたい7割で、100点分の問題を解いて、
正解率が7割だから70点取れるのです。ところが、その子が記述問題を初め
から捨ててしまい、70点分しか解かなければ、70点の7割の49点しかとれま
せん。これでは、合格を勝ち取ることは難しいでしょう(解くスピードが遅
くて70点分しか解けないということも致命的です)。本番の入試なら良心的
に、好意的に答案を見てくれて、部分点ももらえるでしょうから、記述があ
る学校だったら書かない手はありません。
また、「漢字や計算ぐらいは満点をとりなさい」と多くの母親が言います。
漢字や計算は勉強の基本であり、答案を見ればその出来具合が一目でわかる
ので、そのようにやり玉に挙げやすいのでしょう。確かに漢字と計算は大切
ですが、日頃そればかり言っていると、それしかやらないということになり
ます。
実際、勉強といえば漢字と計算で終わっている子も多いのです。しかし、
漢字と計算で必ず満点を取るというのは難しいことです。それよりも大切な
ことは、基本は基本としてしっかりやったうえで、さらに勉強を発展させ、
学力を発展させることです。国語なら長文読解、算数なら文章題という本丸
で点数を取らなければ合格は望めません。志望校が記述問題を出題するので
あれば、記述問題にチャレンジするべきなのは当然です。
※ 答案には得点を上げるチャンスが隠れている
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
では、記述問題にチャレンジする勇気を持たせるにはどうすればいいので
しょうか。それにはまず、親御様が偏差値や得点へのこだわりを捨てること
です。公開模試といっても、所詮練習の場にすぎないのですから、1回ぐら
い成績を度外視して、「他の問題はやらなくてもいいから、記述問題だけは
ちゃんとやってきなさい」といって送り出してあげましょう。
そうすれば、これまで書かなかった子でも何かしら書いてくるはずです。
そして、テストで少しでも記述を書いたら、それを褒めてあげましょう。そ
ういう場合、私はいつも「おお、良く書けた。10点満点で20点だ」なんて言
って、大げさに褒めてあげるようにしています。
塾の先生や親に褒められることで、子どもは「書いてよかった、やれば私
にも書けるんだ、何か書いたら点がもらえるんだ」という気持ちになって自
信を持つようになり、書く意欲が出てくるからです。だから、親御様も答案
を見たら、できないことを責めるよりも、そうした自信をつけるような言葉、
励ますような言葉をかけてほしいと思います。
私は塾の子どもたちには、見逃しの三振はダメだと言っています。野球で
空振りを恐れて見逃しの三振を繰り返していては、いつまでも打てるように
なりません。バットを短く持って真っ直ぐ前も向いてしっかり振れば、必ず
当たるようになります。一度バットに当たれば、その感触を覚えて何度も当
たるようになってくるものです。
これはテストも同じで、一歩踏み出す勇気を持たなければ、答案は変化し
ません。記述問題が毎回3つあったら、3つともレ点のままです。でも、書く
チャレンジをしてみると、そのうち「部分点がもらえた」、「○をもらえた」
という実感が得られ、自信を持てるようになります。そうやって記述にチャ
レンジしていると、やがて3つのうち、1つ○をもらうようになり、2つ○を
もらうようになり、本気でチャレンジすれば、数か月間で○3つに進歩する
ことも十分可能なのです。
/⌒ヽ彡
「答案には顔がある」というのは、答案には得点を上 <)∂ ゝ
げるチャンスが見えるということでもあるのです。だ ⌒ヽ‐/⌒フ
から、どんな答案であっても否定的に見ないで、そこ ⌒( ミ彡
からチャンスを見つけてほしいと思います。 _」」
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(2009年10月10日配信)
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★連載 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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│第11回│ ■ 受験校は毎日の取り組みの中で自然と決まってくる
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(2009年9月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 志望校の合格可能性は偏差値より“過去問”で判断したい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
6年生の秋からは、いよいよ志望校を最終的に決めていかなければなりま
せんが、どのように志望校を決めていくかが中学受験でいちばん難しい部分
で、親御様がいちばん悩むところでもあると思います。中学受験を考えた当
初から漠然とは親の願いの学校や憧れの学校があったとしても、その時点で
は合格可能性ということはあまり考えなかったでしょう。ところが、塾での
勉強が始まり、模擬試験のような形で順位や偏差値が出てくるようになると、
その成績に一喜一憂するようになります。子どもを行かせたい学校とその合
格可能性とのせめぎ合いで悩むわけです。。
しかし、志望校の合格可能性に対して、親はわが子かわいさからどうして
も目がくらんで、冷静な判断を欠くことになりがちです。模擬試験でわが子
の偏差値が上がれば、それだけで合格した気になってしまうし、反対に偏差
値が下がると絶望的な気持ちになり、お子さんに対してつい言ってはいけな
い言葉を吐いてしまったりもします。親がそうなってしまうのはある程度仕
方のないことですが、そのことを謙虚に受け止めたうえで、もう一度冷静に
中学受験というものを考えてほしいと思います。
では、お子さんの志望校の合格可能性に対して、できるだけ冷静に向き合
うにはどうすればいいのでしょうか。私は過去問をいちばんの手がかりにし
て見ていくのがいいと考えています。これまでも何度か申し上げてきたよう
に、入学試験というのはその学校の採用試験で、入試問題にはその学校がど
のような生徒がほしいかというメッセージが込められています。
そのことを考えれば、その学校の合格可能性を判断するには、偏差値より
も、過去の入試問題である“過去問”に取り組み、問題との相性を知ること
こそいちばん重要です。過去問3年分ぐらいやってだいたい同じ傾向が出れ
ば、それは相性と受け止めていいでしょう。したがって、偏差値に一喜一憂
するのではなく、過去問との取り組みの中で志望校を絞っていくのが賢明な
受験校選びといえます。
※ 過去問に真剣に取り組めば受験がリアリティを帯びてくる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そういうことから、私の塾では何よりも過去問対策を重視し、6年生の9
月から過去問対策に取り組むようにしています(過去問対策を始める時期は
塾ごとにそれぞれの考えがありますが、私は9月ぐらいからがよいと考えて
います)。ただし、A中学が第一志望だからA中学の過去問から取り組むのか
といえばそうではありません。A中学への合格の軌跡のデザインを描くには、
その前にA中学と問題の傾向が似ていて少し易しめなB中学をステップにして
いく必要があると考え、まずB中学の問題何年分かを、毎回点数をつけて合
否の結果を確認しながらやらせます。
そして、少しずつ実力を積み上げていっていることを確認したうえで、1
か月ぐらいしたらA中学の5、6年前の問題を1年分だけやらせてみます。
しかし、この時点ではまだまだA中学の問題は太刀打ちできないので、もう
少し実力を蓄えましょうということで、今度はその子の併願校の候補になり
そうなC中学の問題をやらせてみます。このようにして、A中学合格作戦のデ
ザインに必要な中学数校の過去問に取り組みます。こうした作業を私は“瀬
踏み”と呼んでいます。瀬踏みとは、川を渡るときに足元をぐりぐりやりな
がら、川底が浅いか深いか砂利か砂地かを確かめる作業のことで、そうやっ
て過去問の出来具合を慎重に確認しながら、志望校との相性や合格可能性を
見ていくのです。
こうした瀬踏みの段階の9月末か10月初めぐらいに、私は塾生一人一人と、
実際に取り組んだ第一志望のA中学あるいは第二志望になりそうなB中学の過
去問の答案を一緒に見ながら確認するのですが、これがとても大事な作業に
なります。この時点では合格ラインには全然届かない点数しかとれないのが
ふつうで、仮にその時点での過去問の出来が合格最低点に40点足りないとし
ます。40点差というのは、どう逆立ちしても合格できない点数です。でも、
入試が4教科ならば、1教科10点ずつ挽回すればいいということになります。
そこで、1教科ずつ確認していきます。「算数はどうだ? もうこれ以上
とれないか? この問題はどうだ?」というふうに出来なかった問題を確認
していくと、「単位を間違えた」、「計算ミスをした」、「問題を読み間違
えた」ということが子どもの口から出てきて、ちゃんとやればあと10点ぐら
いは出来たとなるものです。それを全教科でやっていけば、10点×4教科=
40点くらいは積み上がっていきます。たとえ合格ラインまでは届かなかった
場合でも、「あと4か月あるし、これからの勉強でまだまだ点数を上げられ
るんじゃないか」と聞くと、どの子も間違いなく頷きます。そして、あと40
点は無理な点数だろうかと顔を突きつけて聞くと、まず10人中10人が「無理
じゃない」と言います。
このような作業をすると、どんな子でも自信が出てきて、前向きになって
きます。それまで視界になかった前のランナーの姿が見えてくると、俄然力
が出てきて差を縮めていくマラソンランナーと同じで、志望校が射程距離に
入ってくることで、自分が合格する姿がリアリティをもって描けるようにな
るのです。
※ 受験にリアリティを感じれば子どもの顔つきは変わってくる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もちろん過去問に取り組んでいく中では、第一志望校の過去問との相性が
悪いという場合も出てきます。また、実力的にかなり厳しいという場合も少
なくありません。しかし、相性が悪いから、あるいは合格が厳しいからとい
って、簡単にその学校をあきらめて受験校を変更するべきかといえば、そう
は思いません。
たとえ相性が悪くても合格が厳しくても、その学校にどうしても行きたい
と思うなら、過去問の取り組みから見えてきた弱点を克服するための指導を
して、出来る限り合格に近づくように最後まで頑張らせたいというのが私の
考えです。ただどんなに頑張っても合格には届かないということが出てくる
ので、そうした場合でもここは死守したいという学校、また第一志望校合格
作戦を成功に導くための鏡となる学校、私はそれを“へそ”と呼んでいます
が、そうした学校を見つけることが受験作戦では重要ではないかと思います。
へそとなる学校は、いつ、どこを受けたいか、試験日との兼ね合いやその
合格可能性をにらみつつ、最悪の場合も想定しながらそのデザインを確認し
ていくなかで、自ずと決まってきます。また、過去問に取り組んでいき、問
題との相性というものが分かっていくなかで自ずと浮上してきます。過去問
の結果を見れば、親としてもどの学校の問題と相性がいいかは見えてくると
思いますし、子ども自身も真剣に過去問に取り組んでいれば、「A中学は無
理かもしれないけど、B中学ならなんとかいけそうな気がする」といった思
いが実感として感じられるようになってきます。
さらに塾の先生からも「B中学ならいけるかもしれない」といったことを
言われると、B中学というものが現実味を帯びてきて、A中学も受けるが、実
質的にはB中学が第一志望というふうになったり、A中学はあきらめて、第一
志望をB中学に変更するといったことも起こるようになります。合格可能性
が低いということで志望校を変更すると後ろ向きになりがちですが、この場
合は決してそうではないので、晴れやかな気持ちでB中学に向かっていくこ
とができます。
このように過去問に真剣に取り組んでいけば、子ども自身が受験の結果を
リアリティをもって感じるようになり、志望校への思いが固まっていきます。
そうすれば自ずと受験校が決まっていきますし、合格に向けて建設的な勉強
を積み上げていくこともできます。
すると、子どもの顔つきも変わってきます。目が落ち
着いて、口元が引き締まり、余計なことは言わなくなり /⌒ヽ彡
ます。そして、じっくり腰を落ち着けて勉強に取り組む <)∂ ゝ
ようになります。こうなったらしめたもので、自ずと結 ⌒ヽ‐/⌒フ
果もよいほうに向かっていきます。たとえ全滅もありう ⌒( ミ彡
るような強気の受験であっても、最後には1校合格をと _」」
ってくるものです。
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(2009年9月10日配信)
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│第10回│ ■ 合格とは「格」に「合う」こと
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(2009年8月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 中学入試の合否は子どもの人格が学校の「格」に「合う」かどうか
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私は常日頃から、「中学の入学試験は“採用試験”である」と言っていま
す。入学試験というのは、単に学力を調べたいのではなく、その学校がどう
いう生徒をほしいのかというメッセージが込められていると考えるからです。
どれだけ学力があるかを測るために偏差値という数値で結果を出す模擬試験
とは、そこが決定的に違います。
その学校がどういう生徒を求めているのかは、偏差値を見ただけではわか
りません。建学の精神といったものまで立ち返って、その学校の中身まで理
解して初めてわかるものです(ただ入学前に理解することは難しいのですが
……)。そこに表れるのは、単に偏差値だけでは測れない学校の格といって
もいいでしょう。そう考えると、入学試験に合格するというのは、文字どお
り「格」に「合う」こと、その子がその学校の格に合うということなのでは
ないでしょうか。
だから、私は合格するかどうかは偏差値では決まるのではなく、その子の
人格がその学校の格に合っているかで決まると思っています。問題はその子
の性格で、性格は変えられません。ただ自分の性格を自覚し、人格と呼べる
レベルへ高めていくことは可能で、そこに人間としての成長があり、合格す
る子に育つのだと思います。
それは決して偏差値を無視するということではありません。偏差値は学力
を測るめやすとしては必要なものです。でも、偏差値だけで学校の合否は測
れません。実際、同じ偏差値の学校なら全部受かるのかといえばそうではな
く、模擬試験ではその学校の志望者中で順位が1番だった子が、本番では不
合格になったということも起こっています。したがって、わが子を志望校に
合格させたいのであれば、ただ偏差値だけを上げればいいというのではなく
て、学力とともに人格も高めて、志望校の格にふさわしい人間に成長させる
ことが必要なのではないかと思います。
※ 人格を高めるにはまず基本の形を身につけさせたい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ただ、“人間”に成長させるというのは、そう簡単なことではありません。
特に今の子どもたちというのは魂に風穴があいている感じで、人間としての
芯になるものがなく、これまでだったら当たり前と思っていたことさえ身に
ついてないことが多いと感じます。
たとえば昔の日本でしたら、論語などの中国の故事成語を教えるといった
教育のバックボーンがありました。学校では漢文は習わなくても、小学校の
先生が何かの折に「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず」
とか「衣食足りて礼節を知る」といった言葉を取り上げたり、あるいは親が
そういう言葉を教えたりしたものでした。でも、今は塾の授業でそうした言
葉を出しても、子どもたちは誰もこれまで聞いたことがないと答えます。
また、算数で線分図を使って考えましょうといっても、今の子どもたちは
描こうとしませんし、何とか描かせても真っ直ぐに線を引けません。昔は、
最初は定規を使って線を引く練習をして、真っ直ぐに線を引くことを身につ
けましたが、今の子どもたちは最初にそういうことをしていないので、きち
んと線を引く形が身についていないのです。他人の話を聞く、まねをする、
というのは正に学習の始まりであり、基本だと思いますが、そうしたことも
できていません。
万事がその調子ですから、今の子どもたちに勉強を教えてもなかなか身に
ついていきませんし、積み上がってもいきません。堰がないため、川に土が
堆積せず、すべて下流に流れていってしまうようなものです。そうならない
ようにするには、勉強においてもまず基本の形を身につける必要があります。
サッカーや野球を習う時でもまず形から入るのと同じです。
勉強の基本の形というのは、鉛筆を正しく握る、定規を使って線を引く、
先生の話をちゃんと聞く、大事なことをノートに取る、問題文を終わりまで
読む、自分の頭で考えて答えを出すといったことで、これは単に勉強だけで
ない、人間として根本中の基本だと思います。そういう基本が身につくこと
で、勉強面においていろいろなことが効率よく身についていくだけでなく、
人間としても成長し、人格が高まることにつながっていきます。勉強を続け
ていくことでそのように人格が高まっていけば、志望校の合格に近づいてい
くことは間違いありません。
反対に、嘘をついたり、ごまかしたり、悪いことは何でも人のせいにした
りする、人間として未熟な人格のままでは、勉強は身につかないし、合格も
覚束ないでしょう。
※ 親は子どもの成長を内面から見てほしい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
人間として成長していくには、まずできない自分を早く受け入れて、自分
の頭で考えることが大事です。それができれば、自ずと結果に対する責任は
自分にあるという自覚も出てくるので、結果を出すために努力するという気
持ちも高まっていきます。そういう努力ができる自分でありたいと思うよう
にもなります。そのほうが自分でやったという実感が出てきて、難しいこと
に直面した時にも逃げずに頑張れる辛抱強さや粘り強さが出てきます。そし
て、この実感を持つことでやる気にも本当に火がつきます。
中学受験で最初に志望校として名前が挙がるのは、お父さんの出身校のA
中学とか、ブランド校のB中学というケースが多いと思います。そして、親
からそういう学校名を聞かされて、子ども自身もその学校に入りたいと思う
のでしょうが、その時点では漠然とした思いにすぎません。自分の頭で考え
て、難しさに本当に直面した実感を手にして初めて、仮に10ポイントも高い
偏差値の学校であっても、最後まで頑張ってチャレンジしようという変化が
現れます。それまでの態度とはがらりと変わって、黙々とやりだすものです。
そういう状態になると、不思議なことに偏差値がとても届かないといって
あきらめるケースよりも、偏差値が高くてもあきらめず頑張るケースが多く
なります。そして、もう偏差値なんか気にしないといういい意味での偏差値
を越えた受験になります。全滅するかもしれないというリスクを背負った真
剣勝負になります。しかし、それが人間を育てるのでしょう。A中学やB中
学に落ちても、偏差値的に同じレベルのC中学の合格を取ってくるものです。
こうして自分の自信をつかめたとき、人間は大きく成長したといえ、中学、
高校、さらにその先の長い人生の中でさまざまな困難にも立ち向かう勇気が
生まれてくるのだと思います。
物心がついて思春期に差しかかるこの時期に中学受験をすることの意義は、
こうした人間としての成長を同時に獲得できるところにこそあると思うし、
この高い人格を獲得する努力にこそ価値があると思います。それに気づいた
ならば、中学受験をやってよかった、成功したと胸を張れるのではないでし
ょうか。それはたとえ第一志望校に合格できなくて悔し涙を流したとしても
同じで、受験勉強を通して人格を高めることができた子は、中学受験をやっ
てよかったといえるはずです。そういう子は刀折れ矢尽きてという無残な姿
では決してなくて、ある満足感を得て爽やかな顔をしているものです。
こういう考えで受験勉強に取り組んでいったときには、たとえ結果がどう
であれ、みんないい顔になってきます。知的な顔になってきます。ものごと
にじっくり取り組む集中力のある落ち着いた顔といっていいでしょう。それ
が人格が高まり、成長したということの証なのだろうと思います。そういう
成長の変化を、親御さんとしては数字の波、偏差値が上がった下がったで見
るのではなくて、間違いなく子どもがしっかりしてきている、成長している
という視点でもって確かめてほしいと思います。そうし
た内面の成長を感じられたときが、親としての喜びなの /⌒ヽ彡
ではないでしょうか。親御様にはぜひそうした成長を認 <)∂ ゝ
めてあげる言葉をお子さんにかけて、ほめてあげてほし ⌒ヽ‐/⌒フ
いと思います。それが受験生をサポートする立場である ⌒( ミ彡
私の願いです。 _」」
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(2009年8月10日配信)
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★連載 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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│第9回│ ■ 心も体も学力も暑い夏が育てる
└───┘ -------------------------------------------------------
(2009年7月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 夏休みはまず規則正しい生活を意識する
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
古くから、「夏を制する者が受験を制する」ということがよく言われてき
ました。学校がなく、受験勉強のための時間を多く作れる夏休みは、受験生
にとっては学力を上げる大きなチャンスだということでしょう。
確かに夏休みにはそういう面があります。その反面、学校がないというこ
とでだらだらと過ごしてしまい、生活のリズムを狂わせやすいという面もあ
ります。そこで、夏休みは規則正しい生活を意識して、朝は早起きをする、
きちんと三食をとるなど、生活のリズムを整えながら、その中に勉強の時間
を組み込んでいくようにしたいものです。
勉強については、どこの塾でも夏期講習を行っており、たいていこれまで
勉強した単元の総復習のカリキュラムが組まれているので、やはりそれを利
用するべきでしょう。ただし、4年、5年、6年、それぞれの学年によって、
夏期講習のボリュームが違いますし、意味合いも違ってきますので、夏休み
をどのように過ごせばいいかは学年ごとに違ってくる部分があります。
※ 4年の夏は勉強の習慣を崩さないことが大事
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
まず4年生の場合は、6週間ある夏休みのうち、夏期講習の期間はだいた
い2週間から多くて3週間ぐらいで、それ以外の日のほうが多いだけに、そ
こであまり遊び癖をつけないように気をつけたいものです。もちろん長い夏
休みの間には十分に遊ぶことも必要ですが、4年生の夏休み前というのは、
塾通いによってようやく勉強の習慣がつき始めたところで、夏休みもそれを
継続させることが大事です。そうしないと9月からの勉強に戻りづらくなり
ます。勉強をやるときはしっかり勉強する、遊ぶときは思いっきり遊ぶとい
うメリハリが大切です。
塾の夏期講習の勉強だけでは、実際に問題を解いたり、書いて覚えたりす
る時間が少ないので、そうした自分の手を動かして作業する時間をできるだ
けつくるようにしましょう。たとえば毎朝、朝食前に計算問題をプリント1
枚やると決めるのもいいでしょう。5題でも10題でも、毎日無理なくできる
分量でかまいません。
併せて漢字の書き取りも毎日5つやるようにすれば、40日間で4年生まで
に習う漢字を全部おさらいできます。これを学校のある時に始めるとなると
けっこう大変ですが、夏休みであれば始めやすいでしょう。社会であれば、
これは別に朝でなくてかまいませんが、1枚目の白地図には都道府県と県庁
所在地、2枚目には山と山地・山脈、3枚目には川と平野というふうに、白
地図を何枚も仕上げてみるといいでしょう。
理科では、植物や昆虫などの観察をして記録をつけてみるのもいいでしょ
う。虫を飼ったりすると、結局死なせてしまうかもしれませんが、それも子
どもにとっては貴重な経験です。また、ご家族で旅行に出かけたり、帰省を
したりする際に、自然に親しむという体験も勉強のプラスになります。たと
えば田舎で都会では見られない満天の星空を見て感動して、星座に興味を持
つということがあれば、9月からの勉強も楽しくなってくるものです。
読書もぜひするようにしたいものです。これまで長いものを読んだことが
ないというお子さんだと読み切る自信がないので、どうしても短いものばか
り選ぶ傾向がありますが、時間がたっぷりある夏休みはそれを克服するチャ
ンスです。やさしめの内容でいいので、少し長めのものを選んで与えましょ
う。やさしい本でも最後まで読めたという達成感を持つことができれば、子
どもは自信を得ることができます。
※ 5年の夏は本格的な受験勉強に備えて足腰を鍛える
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5年生の夏休みの過ごし方も、基本的には4年生と同じと考えていいと思
います。ただ、受験までのスケジュールを考えた場合、5年生の夏期講習の
位置づけは非常に大きなものがあります。5年の秋からの塾の勉強は中学入
試で重要になる内容が目白押しで、質も量も非常にハードになります。
これをこなしていくには体力も気力も必要で、そのための準備をするのが
5年の夏期講習なのです。プロ野球の選手がペナントレースで実力を発揮す
るには、シーズンオフの走り込みでしっかり足腰を鍛えておくことが大事と
いわれますが、5年の夏期講習はまさにその走り込みと同じです。目先のこ
とにとらわれず、テストの点数などにはあまりこだわらず、勉強の足腰を鍛
えることにじっくりと取り組んでほしいと思います。
そういう点で、とりわけ私がこの時期に大事な勉強と考えているのが国語
の長文読解と記述です。5年の夏休みは、心情を読み取るとか、文章のテー
マを読み取るということを100字程度の文章で書く記述の練習にぜひ取り組
みましょう。
こうした力を伸ばす勉強はあまり早すぎてもダメで、5年の夏ぐらいから
がちょうどよい時期なのです。そして、この時期に4教科の要となる国語力
を鍛えることは、算数・理科・社会を勉強するうえでも援護射撃になります。
また、夏期講習に沿って復習をしていくだけでなく、その歩みを少し止め
てでも、これまでの勉強の中で気になっているテーマに絞って勉強して、自
信をつけるということも必要でしょう。たとえば算数の割合を徹底的に勉強
して、割合の問題なら絶対にできると思えるぐらいにするのです。
※ 6年の夏は弱点対策を重点的にやる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
6年生は、どこの進学塾でも7月までにカリキュラムの勉強がひととおり
終わり、夏期講習はこれまでやってきた勉強の総復習になります。9月以降
は過去問に取り組むなど自分の志望校対策に絞り込むため、まず問題に挑戦
してできるかできないか確認する演習形式の授業に展開も変わるわけで、そ
ういう展開を有利にしていくための最後のおさらいの時間といえます。
6年の夏期講習はかなりボリュームがあり、夏休みの勉強が夏期講習一辺
倒になるのはある程度やむを得ないでしょう。それ以外の勉強は、あれもこ
れもやって全部中途半端になるより、自分の弱点や志望校の入試で多く出題
されそうな内容を重点的にやるべきです。自分の弱点や志望校対策で重要な
内容を知るには、塾の先生に聞いてみるのがいいと思いますが、これまでや
った模試などのテストを見直し、間違ったところやできなかったところをも
う一度やり直してみるのも弱点対策になります。
また、やり直したい単元やよく理解していない単元を紙に書き出して、そ
れをもとに何をやるか毎日の計画を立てて取り組むようにするといいでしょ
う。夏休み前に40日間の立派な計画を立てる受験生もいますが(親御さんが
立てさせるケースが多いと思いますが)、たいていはそのとおりにはいかな
いもので、それが本人の負い目や挫折感になって、夏休みの気分を重くして
いきます。
親子のバトルの引き金にもなりかねません。それよりは計算用紙にしてい
るような紙に、毎日寝る前にでも明日やろうと思うことを思いつくままに書
き出して、それを翌日1つ1つこなしていくぐらいのゆるやかなメモ書きの
計画がいいでしょう。「読書の本を10ページ読む」とか、「暑中見舞いのハ
ガキを書く」とか、「田舎のおばあちゃんに電話をする」とか、やろうと思
うことを何でも書き出し、そのなかに「算数の問題集の○ページから○ペー
ジまでやる」といった勉強の計画も書き加えるのです。
そして、朝起きたら、やる順番に番号をふり、1つやり終えるごとに、横
線を引いて消していくようにすれば、1つ1つ消していくごとに達成感を得
ることができます。また、今日やり残してしまったことは、明日の予定に優
先的に書き込むようにします。すると、横線で消されたメモ紙を見ながら今
日一日の充実感が湧いてきますし、次にやるべきことも頭の中で明確になり
ます。こうしたことを習慣づけていくと、常に問題意識を持って勉強に取り
組めるようになり、自分から勉強していく姿勢が育ってきます。
※ 夏休みの実体験が9月からの勉強を生き生きさせる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
夏休みはいろいろなことを試してみるチャンス、今までやったことのない
ことにチャレンジしてみるチャンスではないかと思います。そして、このチ
ャレンジは、6年は別として、4年や5年の場合であれば、受験勉強のため
にやるというのではなく、楽しいからやるという気軽な気持ちでやってみて、
うまくいかなかったら今度は別なやり方でやってみるというようなことでい
いのではないでしょうか。こうした夏休みの実体験はお子さんを生き生きと
させ、9月以降の勉強に必ず生かされるはずです。
私の塾ではいつも、7月のカリキュラムカレンダーに、 /⌒ヽ彡
「心も体も学力も暑い夏が育てます」という言葉を書き <)∂ ゝ
ます。夏休みは子どもにとって大きな成長ができるとき ⌒ヽ‐/⌒フ
で、その成長こそがこの先にある合格の礎になっていく ⌒( ミ彡
のです。 _」」
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(2009年7月10日配信)
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│第8回│ ■ 過剰な保護者の介入が合格を妨げる
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(2009年6月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 中学受験の“離乳”は、自転車の補助輪を外すのに似ている
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
中学受験の勉強を始める時期が“離乳”していく、つまりお子さんが親離
れをしていくよいタイミングではないかということを、これまで何回か言っ
てきました。しかし、なかなか離乳できないお子さんというのは、子どもが
親離れできないというよりも、親が子離れできないケースがほとんどではな
いかという気がします。
中学受験を通して行われる“離乳”は、子どもが補助輪なしで自転車を乗
れるようになる過程に似ています。最初に子どもに自転車を与える場合、補
助輪がついている自転車を与えるのが普通ですね。まず自転車で走る楽しさ
を知ってもらうためには、いきなり漕ぐのが難しい補助輪なしの自転車では
なく、すぐに漕げる補助輪つき自転車を与えるわけです。
でも、補助輪がついたままでは、お尻を大きく上げたりしても、左右の足
の漕ぎ方のバランスが悪くてどちらかに傾いたりしても、絶対に自転車が倒
れないので、自転車の正しい乗り方は身につきません。子どもに自転車の上
手な乗り方を身につけさせたいなら、早めに補助輪をはずす必要があります。
補助輪をはずすと、最初はすぐに転んで、痛い思いをしたり、怖い思いを
したりします。大きな怪我をする危険もあるでしょう。でも、子どもは何度
か転んでいるうちに、たちまちうまくバランスをとって乗れるようになり、
加速の仕方も、カーブの曲がり方も、坂道でのブレーキのかけ加減も自分の
体で覚えていきます。
受験勉強もこれと同じです。最初は勉強が嫌にならないように、いきなり
難しい問題を与えるのではなく、やさしい問題を解かせて正解する喜びを知
ってもらうものです。でも、いつまでもそのままでは学力は伸びていきませ
んから、ある程度勉強に慣れてきたら、難しい問題にもチャレンジしていき
ます。その際には何度も「×」をもらうことでしょうが、それをバネにして
努力を重ねて学力を伸ばしていくわけです。
※ 子どものやる気を育てたいなら、親は勉強に手出しをしない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ただ、そのとき親として注意しなければならないのが、親はできるだけ手
出しをせずに、陰から見守ることが大事だということです。
補助輪なしで自転車に乗る練習でも、最初は親が自転車の後ろを持って支
えてあげても、途中で手を離すはずです。いつまでも親が手を離さなければ、
子どもはいつまでたっても上達しません。勉強だって同じで、親がいつまで
も手取り足取り教えているようでは、本当の学力はついていきません。なる
べく自分の力でやらせるようにすることで、たとえ最初は難しくてできない
問題でも、塾の先生に聞いたり、自分でいろいろ考えて工夫したりして、解
き方を会得していくものです。
ところが、最近の親は、子どもが四苦八苦する姿をハラハラして見ていられ
ないといって、すぐに手を差し伸べてしまうことが多い気がしてなりません。
自転車にしても、転ぶのが危ないからと、すぐに子どもにヘルメットやプ
ロテクターをつけさせたがります。でも、転んで痛い思いをするから、転ば
ないように上達しようとする気持ちが起こるのであって、それを最初から取
り除いてしまっては、そういう気持ちは湧き上がってきません。勉強にして
も、「×」をもらわないようにということで、親がすぐに解き方を教えてし
まっては、自分の力で理解しようという気持ちになりません。
そして、問題を解くことがどこか他人事のようになってしまいます。自分
は解けない、できない、問題が難しいという現実に直面しないので実感が湧
かず、リアリティーがないのです。そこからは喜びや感動は生まれませんし、
やる気も育ちません。当然、学力も伸びるはずがありません。
「この子はやる気さえ出れば、できると思うんですけど」ということをおっ
しゃる親御さんがよくおられますが、実はそういうふうにすぐ手出しをする
親の姿勢が、黙って見守っていれば自然に芽生えるはずの子どものやる気を
殺いでいることが多いのです。
反対に、子どもの育つ力を信じて、なるべく親が手出しをせず、勉強は塾
と子どもに任せるようにすれば、勉強の結果は自分の責任という自覚が生ま
れるようになります。自分でやる勉強であればこそ、転んだ痛みは自分の痛
み、できた喜びは自分の手柄として明確に実感できるはずです。
その実感を手応えとして受け止め、小さな自信を積み重ねていくことで、
親からの自立が促され、その結果を自分の責任として受け止められる受験生
=「合格する子」に育つのです。
受験勉強の過程は、自分の結果について想像し、悩みながら、そのリスク
を自分で受け止めるしかない厳しさをだんだん悟っていく過程であり、その
リスクをなんとか回避しようと努力するところに、人間としての成長を認め
ることができます。
だから、挑戦する意義があるのだと思います。そのように成長していけば、
たとえ第一志望校に合格できなくても、親や塾の先生など他人のせいにする
こともありません。どこが足りなかったのか自分で反省し、新たな課題が念
頭に浮かぶので、次の学校に行っても次の目標に向かって努力することがで
きます。そういう子は決して燃え尽き症候群になったりせず、中学・高校で
さらに学力が伸びていくものです。
※ 親にいちばんやってほしいのは、子どもを褒めること、励ますこと
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
とはいっても、親がまったく手を差し伸べなくてもいいというのではあり
ません。親が支えてあげることはやはり必要です。ただ、それは親が解答解
説を持ってテストの答案を見て、添削をすることでも、一緒に問題を解くこ
とでも、点数を折れ線グラフに表して弱点を分析することでもありません。
そのようなことをしても、親子の間ではなかなか冷静な判断ができません
から、つい感情的になって、「こんな問題もできないのか」といった罵倒に
なってしまうのが関の山です。挙句の果てには、「こんな成績ではどこも受
からない」とか、「うちの子じゃない」などと、絶対に言ってはいけないこ
とまで思わず口にしてしまうものです。
だから、勉強のことは塾に任せて、親、特に父親は、社会のことや世の中
のこと、仕事のこと、「勉強よりもっと大切なものがある」といった人生の
話を子どもに語ったり、あるいは子どもの話を聞いてあげたりしてください。
わが子が成績が伸びずに苦労しているときには、「たかが勉強じゃないか。
実はお父さんも算数が苦手だったけど、こうやってちゃんと生きている。お
前だって将来はきっと人のために活躍できるようになるさ」といった言葉を
かけてあげられる心の余裕を持ってください。
たとえテストの結果が悪くても、子どもを叱責するのではなく、黙って見
逃すくらいの寛容さが必要です。結果が悪かったことは本人が一番わかって
いるのですから、さらにプライドを傷つける言葉を浴びせることはないので
す。
子どもはどの子もお父さんやお母さんにいいところを見せたいと思ってい
て、次は頑張ろうと思っています。それを信じて見守ってあげてください。
そうすれば、成績が伸びたときには、自分から喜んで親に報
告するはずです。そのときには、「そうか、よくやった。ず /⌒ヽ彡
いぶん成績が伸びたじゃないか」というふうに一緒に喜んで <)∂ ゝ
あげれば、自分に自信が持てるようになり、さらに頑張れる ⌒ヽ‐/⌒フ
ようになります。叱っても決して成績は伸びません。褒める ⌒( ミ彡
言葉、励ます言葉が子どもを伸ばすのです。 _」」
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(2009年6月10日配信)
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│第7回│ ■ 勇気を持って「×」をもらおう!
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(2009年5月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 中学受験の勉強は3・4年の“離乳”時から始めるのがベスト?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
中学受験における進学塾のスタートがだいたい小学校3・4年生からとい
うのは、中学受験のためのカリキュラムを逆算していくという点からも合理
性があるのでしょう。でも、以前にもここで述べたように、小学校3・4年
は“離乳”のとき、つまり親離れをしていく時期で、お子さんの自立を促し
ていくうえでも、その時期から中学受験の勉強を始めるのはよいタイミング
なのではないかと思います。
“離乳”のときというのは、物心がつく時期とも重なります。子どもは物
心がついて初めて、人の話を聞いて、それを受け止めて、自分で考えて何か
をやってみるということができるようになります。科学的な根拠があるわけ
ではありませんが、子どもの成長段階を現場で見ていると、そういうことが
でき始めるのは小学校3・4年ぐらいからという気がします。ところが、物
心がつかないうちは、授業で先生がこうしてほしいということを訴えかけて
も、それをキャッチすることができません。いくら先生が訴えかけても、素
通りしてしまうだけです。
小学校の勉強であれば、それほど授業に集中しなくても、80点、90点取る
のは当たり前で、100点だって特別なことではないでしょうが、中学受験の
ための勉強というのは、小学校の勉強とは要求されるレベルが違います。塾
の授業で先生の話をきちんと聞いて、言われたとおりにやらないとうまくで
きません。そうした点からも、中学受験の勉強を始めるのは3・4年生ぐら
いからがいいと思うのです。
ただし、小学校3・4年が“離乳”のときといっても個人差があります。
すぐに親から離れられる子もいますが、そういう子ばかりではありません。
むしろ完全に親離れするには1年から2年かかるのが大方で、そのくらいの時
間をかけてゆっくり離乳していくのがいいというのが私の考えです。
※ “離乳”の始まりに×の洗礼、そこから勉強が始まる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私の塾でも、3年生あるいは4年生が塾に通い始める当初というのは、そ
れこそ手取り足取りという感じで接します。塾に通い始めたばかりの3年生、
4年生というのはみんな○がほしいもので、たとえ本当は不正解であっても、
私が答えを言えば、間違った自分の答えを一生懸命消しゴムで消して正しい
答えに書き直して○をつけるものです。そして、「できた人?」と聞くと、
みんな「できた!」と手を挙げます。
でも、私は最初はそれを叱ったりはしません。もし、「なんでそんなズル
をするんだ」などといきなり叱ったりすれば、子どもたちは震え出したり、
泣き出したりするでしょう。もう塾なんか行かないという子も出るでしょう。
だから、むしろ最初はできなくても×はつけず、やり直してごらんと言って
やり直させて、できたら○をつけて、「はい100点」といって返すようにし
ています。
でも、もちろんそんな状況のままでいいわけがなく、早い段階で洗礼を与
えます。唐突に1問、わざと全員ができない問題を出してやらせて、「この
問題は先生が○をつけるよ」と言って、一番前の席の子から、「バツ、バツ、
バツ……」とわざと効果音のように唸りながら全員に×をつけていくのです。
そして、最後に「ああよかった、みんなバツだった」と、×をもらったこと
がとてもすばらしいというようにことさら喜んでみせ、全員に向かって、
「勇気を持って×をもらおう。×をもらったところから勉強が始まる」と言
います。要するに、全員に平等に洗礼を与えるわけです。
そうやって、一度洗礼を受けると、×をつけることに対して子どもたちも
抵抗感がなくなり、それまでだったら答えを書き直して○をつけていた子も、
思い切って×をつけられるようになります。そして、×をつけたら、私は「
○○くん、えらい。勇気を持って×をつけられたね」と褒めるようにしてい
ます。すると、「×をつけたところから勉強が始まるんだよね」と返してく
る子も出てくるようになります。私も子どもたちのノートに×をどんどんつ
けることができるようになり、みんなできていないからやり方を教えるよと
いうふうに言って、授業を聞くように仕向けていくことも可能になります。
※ 親も子どもが×をもらうことを受け入れてほしい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私がなぜ、「勇気を持って×をもらおう」というのかといえば、まずは子
どもたちにできない自分を受け入れてほしいと思うからです。
本当は誰だってできない自分の姿なんか見たくないものです。でも、でき
ない自分に気がつき、自分の弱い部分を自覚し、それを受け入れてこそ、で
きるようにしていこうという努力、弱い部分を直していこうという努力もで
きるようになるのです。
だから、授業ではできなくても間違ってもいいから、どんどん問題に体当
たりしてみるべきで、それが勇気を持って×をもらおうということです。柔
道や剣道は、道場で何度も投げ飛ばされたり、打たれたりして強くなるもの
ですが、塾の授業も柔道や剣道の道場と同じです。何度も×をもらってこそ、
学力も伸びていくものなのです。
ところが、いくら我々塾の講師が子どもたちに「勇気を持って×をもらお
う」と言っても、親にもその自覚がないと、テストで×をもらったお子さん
を「どうしてこの問題ができないの?」「なんでこんな点数しか取れないの
?」と厳しく責めてしまい、子どもは勇気を持って×をもらえなくなります。
厳しい親に怯えて、ズルをしてでも○をもらおうとするようになりますし、
成績が伸びなければ、それを人のせいにするようにもなります。これでは、
合格とは逆の方向に向かっていくだけでしょう。
そうならないようにするには、親御様も「勇気を持って×をもらおう」と
いう言葉を理解して、子どもが×をもらうことを受け入れてほしいと思いま
す。そして、子どもが×をもらっても、厳しく叱るのではな
く、むしろ「×をもらってよかったじゃない、自分の弱点に
気がつくことができたんだから。これはチャンスよ」という /⌒ヽ彡
ふうに言ってあげましょう。そうしてこそ、子どもは勇気を <)∂ ゝ
持って×をもらえるようになり、学力も伸びていきます。そ ⌒ヽ‐/⌒フ
して、まちがいなく勉強が好きになり、勉強する子になるで ⌒( ミ彡
しょう。 _」」
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(2009年5月10日配信)
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│第6回│ ■ 子どもの学力を伸ばすのは、「よい生活習慣」から
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(2009年4月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 基本的な生活習慣ができている子は学力が高い!?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私の塾では、子どもたちに「整理、整頓、清掃、清潔、しっかり、しつこ
く、習慣化」ということを言っています。これは東芝とか日立といった大企
業の7S管理や5S管理を真似て、私なりに語呂合わせで言いやすいように
並べ替えてみたものです。
7S管理や5S管理というのは、企業が収益を上げるための法則です。こ
れが徹底できていない企業や工場は生産性が上がらず、収益も上がりません。
つまり、会社がつぶれるということです。だから、7Sや5Sといったことを
掲げて、社員や工員の身の回りの整理整頓を徹底させているわけです。
こうした生産性を上げるための法則、収益を上げるための法則は、そのま
ま学力を上げるための法則にも合致すると思います。こうしたことが体に身
につけば、頭の整理整頓も自然と身にき、学力も上がります。反対に、これ
が身につかないと学力はなかなか上がっていきません。それで、子どもたち
が言いやすいように「整理、整頓、清掃、清潔、しっかり、しつこく、習慣
化」の順番に並べて紙に書いて教室の至る所に貼っています。さらに子ども
たちにも配って、「家で自分の部屋に貼っておきなさい」と言っています。
しかし、いくらかけ声をかけても、ご家庭の意識も合わせてご協力いただ
かないと、そうした習慣はなかなか身につきません。お宅に電話をするとい
つも電話の後ろでテレビの音がガンガン鳴り響いていたり、わいわい騒がし
かったりするようなご家庭ですと、お子さんに手紙を渡しても、親御さんの
ところにはちゃんと届きません。探しても結局は見つからなくて、「もう1
回ください」となります。そういうことの繰り返しの中からは、子どもの7
Sの意識は育ちませんし、学力も上がっていきません。そういうご家庭であ
ると、きっと落ち着いて本を読むような環境もないだろうなということを感
じます。
それに対して、学力が伸びていく子は、家庭がきちんとしているなと感じ
ることが多いものです。いろいろな学力調査でも、朝食を毎日食べている、
学校に持っていくものを前日か朝に確かめる、家で手伝いをするなど、基本
的な生活習慣ができている子のほうができていない子より学力が高いといっ
た調査結果が出ています。これは子どもに規則正しい生活習慣をきちんと躾
けるご家庭だから、子どもの学力も高くなるということだと思います。
※ 親子間の日常会話の細部に神が宿っている!?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ただ、よい生活習慣というのはそれだけではなく、もっと大事なものがあ
ると思います。それは家庭生活の中でどれだけコミュニケーションがなされ
ているかということで、その中心となるのは親子の間で繰り返される日常会
話です。言葉の一方通行、指示、伝達といったものだけではなく、心と心の
キャッチボールであることはもちろん、その言葉を発する意図やら願いやら
といった心裡が見えるような会話を、親子の間で、または子どもの前で日常
的にしてほしいと思います。
子どもたちが毎日の生活の中で直接触れながら思考を決定したり、心を揺
らしたりするのは、身近な日常の生活の中での些細な何気ない言葉のやりと
りです。そこから微妙な言語感覚が育ちます。表現力も高まります。日常の
細部にこそ、子どもの内面的な心の趣とでもいえるものが育つチャンスが潜
んでいるのです。
それは子どもたちの心根を左右し、育むという意味で決して侮れません。
たとえば、「あいさつをしましょう」と、基本となるあいさつの大切さを小
さい頃から教えることは当然重要なことですが、さらにもう少し微妙な言葉
遣いまで教える必要があると思います。相手と交わすあいさつは、その言葉
遣いの違いや変化によって、複雑でデリケートな立場の違いやら力関係等を
含めた人間関係を微妙に反映しているものだからです。
ただ、核家族化が進み、家族構成が少ない今の社会では、子どもにそれを
自然に会得しなさいといっても難しいでしょう。実際、最近は人の気持ちを
理解していない子どもが増えているとよく言われますし、私自身、現場で毎
日直面している問題でもあります。だからこそもっと家庭の中で、お父さん
お母さんがさまざまな場面において、微妙な気持ちや心裡も子どもたちに対
して意識的に表現し伝える努力をされる必要があるのではないでしょうか。
この頃は両親ともに仕事で忙しく、塾の送り迎えをパートのヘルパーさん
に任せているご家庭もありますが、そうしたご家庭のお子さんを見ていて、
夜、お迎えに来たヘルパーさんにあいさつはおろか全く口も利かず、つんけ
んした態度をとってさっさと先に歩いていってしまうという場面を目撃した
ことがあります。ヘルパーさんも声をかけることなく、黙って後をついてい
きます。
要するに、雇い主と使用人の関係なのでしょう。親が時給いくらで雇った
ヘルパーさんで、ぼくには関係ない、コミュニケーションをとるべき相手で
はないという態度に見えました。子どもの立場や心裡もよくわかりますが、
こうした態度は親御さんの意識の反映でもあって、これでは人を思いやる気
持ちや感謝する気持ち、豊かな心が育っていくとは思えません。
ヘルパーさんに迎えに来てもらうのも子どもなりに他人とやりとりするチ
ャンスなのに、なんでもお金で解決できるという大人社会の気分が、子ども
をぎすぎすさせて心を貧しくしてしまうような気がしてなりません。実際、
「先生、こっちは授業料を払っているんだ。首にするぞ」なんていう子ども
もいたりしますから。こんな時代だからこそ、親御さんがもっと他者との関
係を意識的につなげる言葉の力を信じて、子どもたちをあるべき方向へ強く
促してほしいと思います。
※ もっとも大事な生活習慣は親子間のコミュニケーション
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もちろん感心する親御さんも多くて、毎回お弁当を作ってお子さんに持た
せていた親御さんもいらっしゃいました。そういうことができるというのは
恵まれた環境のご家庭なのでしょうが、そういうお子さんは、今日はお母さ
んがぼくの大好物のおかずを入れてくれたとかいうふうに、お弁当を通じて
親とのコミュニケーションをしていて、親への感謝の気持ちもふくらむもの
です。こうして育まれるコミュニケーション力が素直な心を育て、人の話を
よく聞く子どもになります。それは当然、学力に跳ね返ってきますし、最後
まで頑張り抜く子どもにもなるものです。
こんな話もあります。私の塾の生徒さんの中に、「私は『うざい』という
言葉を一度も使ったことがない」という4年生の女の子がいるのですが、ど
うして使わないのかというと、小学1年生の弟が紙に「うざい」と書いたの
を見て、母親が「そういう言葉は使ってはいけない」と弟を厳しく叱ったそ
うで、「だから私も絶対使わない」というのです。
「うざい」とか「きもい」といった言葉は、人を蔑んだり、差別したりする
否定的な言葉ですが、子どもはよくわからないままに、そういう悪い言葉を
すぐに覚えて使ってしまうものです。しかし、そういう言葉を使ったその場
でダメと叱ることで、よくない言葉なのだということを感じるようになるの
です。この話を聞いて、家庭の力というものを感じて、親子間のコミュニケ
ーションがしっかりとれているご家庭なんだなと思いました。
よい生活習慣というのは、毎日ちゃんと朝食をとるとか、家の手伝いをす
るとかということももちろんありますが、何よりも大事な生活習慣は、親子
間の日常の会話のなかでそういうやりとりができるというこ
と、そして、親子の間で常に心と言葉のコミュニケーション
を取り合っているということではないでしょうか。それが子 /⌒ヽ彡
どもを成長させ、学力を高めていくもとになるのだと思いま <)∂ ゝ
す。そのためにも、親御様はもっとわが子に自信を持って、 ⌒ヽ‐/⌒フ
はっきりと心と言葉を子どもに伝える工夫をされたらいいと ⌒( ミ彡
思います。 _」」
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(2009年4月10日配信)
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★連載 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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│第5回│ ■ どのような受験をするのか、グランドデザインを描く
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(2009年3月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 受験を通して子どもに何を学ばせたいかを考える
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
中学受験に臨むにあたって、親としてまずやってほしいのが、“グランド
デザインを描く”ということです。要するに、どのような受験をするのかと
いうビジョンを描くことです。
これは事業を起こす際に最初に作る企画書に似ています。おそらく最初の
企画書というのは、こういうことをやりたいという理想の形を描くはずです。
しかしその時点では、大概は内容がまだ漠然としていて、銀行からお金を借
りようとしても、これではお金は貸せませんと言われます。そこで、いろい
ろな意見を聞きながら、何度も書き直すうちに、だんだん内容が具体的にな
っていき、企画書が分厚くなっていきます。そして、微に入り細を穿つまで
用件がつめられていくうちに、この事業は成功するだろうという予測が立つ
ようになります。
中学受験を始める場合もそれと同じで、最初はあくまでグランドデザイン、
おおざっぱなデッサンでいいのです。それが、受験勉強を続けていくなかで、
だんだん具体的になっていき、最終的にどの学校を受験しようということも
自然に決まってくるものです。
だから、グランドデザインは、最初から目標の学校を1つに決めて合格作
戦を考えるといったものではなく、親としてどういう子どもにしたいのか、
どういう成長を願っているのかといったことを確認し、受験を通してお子さ
んに何を学ばせたいのかということを考えたうえで描くべきではないかと思
います。そうすれば、学校選びにもメルクマール(指標)というか、目の付
け所というものができて、何を大切な要素として学校に求めるかということ
が具体的に見えてくるものです。
※ 子どもの成長を促す受験にしたい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ところが、「開成だったらやってみてもいい」とか、「慶應しか眼中にな
い」というように、最初から目標を1校だけに決めつけてしまう親御さんを
見かけることがあります。こういうことは、代々医者の家系でこの子も絶対
に医者にするとか、一族全員慶應でこの子で四代続くといったご家庭の文化
にまで及ぶ場合もあるので、一概に否定はしたくありません。でも、こうい
うスタンスの受験は、子どもを育てる、学力を伸ばすという点でみれば、大
概失敗するということを経験的に感じています。
子どもは長い受験勉強の過程で、この問題ができて嬉しいとか、できなく
て悔しいといった日常の現実的な問題に直面しながら、そして遊びたい自分
と葛藤しながら育っていきます。一つ山を越し、また一つ山を越してという
ように、いくつもの山をクリアしながら成長していき、最終的な合格に結び
付けていくものです。
ところが、「開成しかない」というスタンスだと、子どもは「これは開成
に出るの?出ないの? 出ないんだったらやらない」みたいなことになりが
ちです。生じる葛藤も、「開成に入れないかもしれない」、「開成に受から
なかったらどうしよう」といった開成との葛藤だけで、毎日の勉強も萎縮し
たものになって、能力が伸び伸びと引き出されるものになっていきません。
そういう環境の中では、学力は伸びていきませんし、何よりも精神的な成長
というものが促されません。自分と向き合う強さが育たず、幼いままで、う
まくいかない場合、すぐに言い訳を考えるような子になってしまいます。
将来大リーガーにするためだけに、小学校3、4年生から野球チームに入
れさせる親がどれだけいるでしょうか。子どもが大リーガーになりたいとい
う夢を持つことはいいと思いますが、いきなり3、4年生から大リーガーに
なるための練習があるわけではありません。まずは楽しいからやる、好きだ
からやるのであって、やっているうちにうまくなりたいという欲が出てきた
り、うまく打てるようになって子どもなりの達成感を得たりといったことが
あって、徐々に高い目標にステップアップしていくものです。日々の練習で
卑近な目標を達成していくなかで、何かを学び取って育つのです。それは中
学受験だって同じです。
だから、最初から開成だとか東大だとかというふうに大仰な目標を振りか
ざして、結果だけを求めるのではなく、日々の勉強を大事にし、子どもの成
長を促すような中学受験を、グランドデザインとして描いてほしいと思いま
す。
※ 合格をとるという結果にもこだわってほしい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ただし、私は中学受験ではやはり結果を出さなくてはならないとも考えて
います。親御さんは、勉強をするようになってくれれば、結果はどうでもい
いということをよく言います。また、とりあえず塾に通わせてみて、やれそ
うであればやってみるし、何も中学受験がすべてではないのだから、無理だ
ったらやらなくてもいいと考える親御さんもいます。しかし、親がそういう
逃げ道をつくり、結果や結論を先送りにする、いわば“モラトリアム型受験”
では子どもも本気にはなりませんから、学力もなかなか伸びていきません。
こうしたモラトリアム型受験をする親というのは、結果が出て子どもが傷
ついたりするのを極度に恐れていて、結果を受け止める覚悟や度胸や勇気が
持てないのです。
でも、親がそれでは、子どもにも覚悟や度胸や勇気が育つはずもなく、入
試本番前の土壇場になって、親子でオロオロすることになります。それでは
もちろんよい結果も出せません。親子で不幸のスパイラルに落ち込んでしま
うのです。
そのようなことにならないようにするには、たとえ途中で成績が悪くなっ
て、合格が難しそうになったとしても、最後まであきらめずに受験させると
いう親の覚悟を最初から示すべきです。そういう親のほうが、子どもも言い
訳したりせずに頑張り通しますし、成長します。
私は、自分の塾では現場監督の立場として、日露戦争を戦っているような
気分で、つまり、決して勝ち戦ではなく、日本は滅びるかもしれないという
危機感をもって、子どもたちに「いずれ必ずバルチック艦隊が来る。2月1
日に集中砲火を浴びせるんだ」ということをよく言います。もちろんこれは
決して軍国教育云々ではなくたとえ話で、覚悟を決めて逃げずに勝負をして
合格をとってこいということなんです。そのぐらいの気構えがないと、合格
は勝ち取れません。子どもたち一人ひとりが、自分の「坂の上の雲」をめざ
して頑張ってほしい。それが私の願いです。
中学受験は子どもにとっては厳しい戦いですから、負け戦になることもあ
るでしょう。でも、すべて負け戦では子どもは自信を得ることができません。
また、初めから勝ち戦とわかっている戦いで勝っても、本当の自信を得るこ
とはやはりできません。勝つか負けるか五分五分の厳しい戦いを勝って初め
て、何かを乗り越えたという自信を得ることができ、大きな成長があります。
結局、志望校を決めるについて、余裕の合格校を選ぶということはまずな
いわけで、五分五分、ギリギリの勝負をかけていくようなきつい学校選択に
なっていくのが実際のところです。そこに悩みや迷いが発生
するわけです。だから、親としては中学受験をすると決めた /⌒ヽ彡
のなら、どんな場合でも逃げずに勝負するという覚悟を決め <)∂ ゝ
たうえでグランドデザインを描き、最後は1校でもいいので、 ⌒ヽ‐/⌒フ
子どもが満足できる学校に合格させるという結果にこだわっ ⌒( ミ彡
てほしいのです。 _」」
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(2009年3月10日配信)
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★連載 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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│第4回│ ■ 中学受験は親が試されるということを自覚すべし
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(2009年2月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 勉強がうまくいかないのは子どもより親に問題がある
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2月というのは、中学受験においては1年のスタートの時期で、子どもたち
にも当然そういう自覚をもってもらいたいものです。でも、それ以上にこの
時期に強調したいのは、中学受験では親が試されるのだと親自身が自覚して
ほしいということです。
お子さんが新5年生、新6年生となるこの時期は、塾に通って受験勉強を
1年あるいは2年やってきたものの、わが子の成績が伸びない、勉強をしな
い、言うことを聞かないといったことで、悩んだりイライラしたりする親御
さんが増えてきます。そうしたとき、成績が伸びないのはわが子に問題があ
ると考え、塾で何をやっているのか、どういう勉強しているのかとわが子を
問い詰める親御さんが少なくありません。
子どもがそれに対して満足に答えられるはずもないのですが、その様子に
親はさらにイライラして、この子は基礎が全然できていない、そもそも勉強
の仕方からわかっていない、やる気がない、と全否定してしまいます。ステ
レオタイプの総括をしてしまうのです。子どもの立場はありません。これで
は親子間の軋轢は深まり、合格からはどんどん遠ざかっていくだけです。
そして、今度は塾の先生に「どうしてうちの子は成績が伸びないのでしょ
うか」と尋ねます。でも、たいていは塾の答えにも納得できず、もう人に頼
ってもダメだ、自分でやるしかないと思い、親が学習計画を立てて教え出す
ようになります。特に勉強に少し自信がある、成功体験を持っている親に限
ってそうなりがちです。
こうなると、子どもはいつまでも親離れができずに幼いままで、操り人形
になってしまい、親の願いとは反対に成績は伸びません。あるいは乱高下を
繰り返すばかりです。中学受験では「幼さ」が合格への大きな妨げになりま
すが、この「幼さ」は親子関係の反映で、手のかけ方に比例しているのです。
子どもの勉強ができない原因は、本質的に別のところにある場合が多いと
思います。それは親子関係です。勉強がうまくいかない場合、ほぼ間違いな
く子どもよりも親に問題があるのです。昔から言われていることですが、
「子どもは親を映す鏡」という言葉を思い出してほしいと思います。
実際、塾の講師の立場から子どもたちの様子を見ていると、そこから親御
さんの思想信条、価値観、人生観、哲学といったものが、あるなしも含めて
透けて見えてきます。親の姿が子どもの言動にそのまま反映されてくるもの
で、親がしっかりしていれば、子どももしっかりしてきますが、親に問題が
多い場合は、子どももよく問題を起こします。
親が他人を思いやれる親だと、子どもも思いやりのある子になりますが、
自分のことしか考えない親だと、子どもも自分勝手になります。親が偏差値
しか見ていなければ子どももそうで、中身は充実しません。建設的な学習が
継続しないからです。つまり、子どもを成長させたいなら、親も成長しなけ
ればならないということです。
※ 中学受験は子離れ・親離れをしていくよい契機
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そこで、次に言いたいのが、かつてボーヴォワールは「人は女に生まれる
のではない、女になるのだ」として、女性を"第二の性"といいましたが、そ
れになぞらえると、子どもが産まれたから親なのではなく、子どもを育てて
初めて本当の親になるのだということです。
それを"第二の親"というならば、子どもが可愛い年頃を通り過ぎて、「う
るせー」「くそババア」と生意気を言い出す小学校3・4年生ぐらいからが"
第一の親"の離乳のときで、そのときに第二の親を自覚して少しずつ離乳し
ていく、つまり親が子離れし、子どもが親離れしていくのが理想的といえま
す。そして、その時期がちょうど中学受験に取り組む時期に重なることを考
えると、子離れ・親離れしていくには、中学受験はちょうどよい契機なので
す。
中学受験を通して子離れ・親離れしていくのであれば、親は人を信じて、
子どもを他人(ひと)に預けるということも必要です。核家族化が進んだ今の
時代は、他人に頼らず、家族だけでものごとを解決しようとしがちですが、
子どもというのは家族だけで育てられるものではありません。家庭だけで育
つものでもありません。地域とかコミュニティといったなかで、他人とのや
りとりを通して育っていくものです。
その一方で、そうした他人とのやりとりの中で、子どもというのは必ず人
に迷惑をかけたり、世話になったりしているものだということも忘れてはな
りません。親としてはその点を謙虚に受け止めて、他人に対して、「ご迷惑
をおかけしています」「お世話になっております」という言葉を発すること
が大切です。
ところが、最近はそういうことに思い至らず、「うちの子は人に迷惑をか
けたりしない」「人の世話になんかならずにちゃんと生きています」といっ
て憚らない"立派な"親御さんが増えているような気がしてなりません。生ま
れる時から死ぬ時まで、人は必ず他人の世話に必ずなっているのですから、
プライドが傷つくことでも、恥ずべきことでもないはずです。ならば、有り
難く他人にわが子の世話をしてもらったほうがいいのですが、結局は人が信
じられないから、そういう態度になるのです。
※ 他人(ひと)を信じ、子どもを信じることが成功させるカギ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
このように人を信じることができず、社会や世間に対してそうしたエゴを
むき出しにする親というのは、口ではわが子の可能性を信じているといいな
がら、本当には信じることができず、わが子に対してもエゴを向けているも
のです。
これでは離乳ができませんから、たとえ元々頭がいい子であっても成績が
伸びず、中学受験もうまくいかないことが多いのです。
親というのは、特にわが子の勉強に対しては、愛情ゆえに贔屓の引き倒し
になって、冷静に判断できなくなるものです。それよりは、他人を信じる気
持ちをもって塾に任せ、そして子どもを信じて口出ししたりせず、忍耐強く
見守ることです。そうすれば必ず子どもは育ちます。学力にも跳ね返ってき
ます。要するに、親には"信じる力"が大事で、そこが試されるのです。
ただし、どのような他人に、どのような塾にお願いするかが問題で、親が
自分の目で、自分の経験で、自分の責任で選ばなければなりません。親に人
を見る目がなければ、わが子をおかしな方向に導いてしまうわけで、その点
でもまさに親は試されます。
中学受験というのは、母親にとっても父親にとっても、子育てを見つめ直
すよい契機ではないかと思います。そして、しっかり見つめ
直すことができれば、親も成長して子離れができます。子ど /⌒ヽ彡
もも自立して親離れができ、中学に入学してさらに成長して <)∂ ゝ
いくものです。それが本当の意味で中学受験を成功させる道 ⌒ヽ‐/⌒フ
ではないでしょうか。 ⌒( ミ彡
_」」
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(2009年2月10日配信)
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│第3回│ ■ 入試当日をベストコンディションで迎えるためには?
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(2009年1月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 入試直前になってもいつもと変わらぬ生活を
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
入試本番まで1か月を切ったら、よいコンディションで入試当日を迎えら
れるように考えていかなければなりませんが、それにはいつもと変わらぬ生
活をすることが大事です。これまでにもう受験生としての日常生活が作られ
ているのですから、それを毎日繰り返して入試本番を待てばいいのであって、
直前に改まったことをして生活習慣を変える必要はありません。
ただ睡眠時間を取ることは大事です。それに、性格的にできない子に無理
にやらせることはありませんが、できれば朝早く起きるようにもしたいとこ
ろです。
理想としては、朝6時ぐらいに起きて、すぐ計算問題を3つとか5つとか
やって頭を覚醒させることを習慣にするといいでしょう。朝6時に起きると
決めて目覚まし時計をセットしたら、そこでパッと起きるというのは、集中
力をつける一つの秘けつでもあります。
それから必ず朝ごはんを食べるようにすること。男の子でも女の子でも、
体の生理的なリズムをきちんと整えるということが大事で、朝ごはんを食べ
ることで1日のリズムを整えて、テストを受けに行くというふうにしたいも
のです。
逆に、朝ギリギリまで寝ていると、朝ごはんも食べられないし、体のリズ
ムも悪くなって、途中でおなかが痛くなったとかいうことになってしまいま
す。大人の生活というのは、会社勤めや社会生活の中で、みんな自分の形と
して体のリズムを整えていくものですが、子どもはまだそこまではできませ
ん。でも、受験ということをきっかけにして、生活のリズムをきちんと自分
でコントロールできるようにしたいものです。これは大切なことで、合格す
る子は、勉強はもちろん自身の体についても親まかせではなく、自律的にな
って、自立し、合格する子になるものです。
※ 入試直前はどんな勉強をするべきか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
合格をつかみとるには入試直前の勉強も重要になりますが、これはやっぱ
りまとめていくということが大事でしょう。この時期になったら、新たな武
器の購入なんかするべきではなくて、すでに持っている武器でもって戦おう
とするべきです。その代わり、自分の武器の調整やら手入れはやっておかな
いとダメです。つまり、今から新しいことを覚えるのではなく、これまで勉
強してきたことを総復習して、その範囲であれば確実に解答できるようにし
ておくことです。
総復習ということで、塾などでもプリントをたくさんやらされると思いま
すが、それをやればほかにすることは何もないというふうに子どもは思って
しまうものです。
特に国語なんかは、漢字・語句・ことわざ・慣用句をやったらほかにやる
ことがないみたいな感じに、塾の先生でもなりがちです。でも、国語で点数
をかせげるのは実は読解力問題です。だから、入試本番では長文読解で1点
でも多く稼ぐ気構えでいるべきで、入試直前まで長文読解問題にも取り組む
べきです。
そして、勉強というのは基本に始まり、基本に終わるので、そういう点で
はどの教科でも基本の例題レベルの問題をちゃんとやれるようにしておきま
しょう。例題レベルの問題を毎日見返して記憶をよみがえらせ、不安に思っ
たら、ちょちょっと解いてみるということを繰り返せば、たくさんの量をま
ともに解かなくても、やったことのおさらいになります。入試までには量的
にたくさんの問題量をやりこなすでしょうが、最後はどう絞ってどうまとめ
るかということが決め手になります。
※ 入試直前に学校を休ませるのは是か非か?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
入試直前は、受験勉強に専念するために、あるいは体調を維持するために
学校を休ませてもいいものかと思い悩むご家庭も毎年多く見られます。
この点についての私の結論は、基本的にはご家庭の教育方針次第ではない
かと思っています。「学校はやはり休むべきではない」と考えるご家庭もあ
るでしょう。そう考えるのはお父さんに多いのですが、それは立派な見識で、
そのとおりだと思います。ただし、後になってやっぱり休んでおけばよかっ
たと後悔したり、子どもの言い訳にならないように、考えをすっきりさせて
おきたいものです。
反対に、「学校を休ませても塾に行かせる」というのが家庭の方針として
はっきりしているのでしたら、それも構わないと思います。それに、インフ
ルエンザが猛威をふるって、学級閉鎖というふうになったときは、インフル
エンザをもらってきて欲しくないので、緊急避難的な意味で、朝から塾で過
ごすというのはいいのではないかと思います。
ただし、それまでやっていない子が最後の1月だけ朝から塾に来て勉強し
たからといって、どんでん返しがありそうに思うのは大きな間違いです。そ
れまで基本がきちんと身についていない子が、直前に過去問をがんがんやっ
て特訓したからといって簡単に合格できるものではありませんから、そうい
うことでただ休めばいいということは考えものです。
それから実態を想像すると、この時期の学校の授業は、子どもたちの時間
つぶしになっていると思うんです。これは学校の先生もお気の毒なんですけ
ど、それに付き合っている子どもも気の毒です。学校によっても違うし、同
じ学校でも担任の先生によって判断が違って、学校を休むことを大目に見る
先生と、「いやダメです」と電話をかけてくる先生がいて、私の塾でも毎年
保護者の方からご相談を受けて悩みます。
でも、最終的には親がどうしたいのかです。学校や先生の方針だからとい
うよりは、親御さんがご自身で判断するべきです。ただし、受験勉強をやっ
ている子にとっては、学校の授業が退屈なのは事実です。かといって、机の
中で問題集を出して、隠してやっていると、周りから言われてしまいます。
みんながお互いに敬遠して、足の引っ張り合いをして、勉強をさせないぞ
という雰囲気があって、そのなかで受験なんか気にしていないよという素振
りをして、朝から夕方の4時まで時間が過ぎるのを待っているんですね。そ
れで子どもは疲労困憊してしまうんですが、そんなことで悩んで精神的に疲
れてしまうぐらいだったら、割り切って休んでしまったほう
がすっきりすると思います。最後は、お子さんがベストの状 /⌒ヽ彡
態で入試本番を迎えられるためにはどうするべきかという視 <)∂ ゝ
点で判断するべきではないでしょうか。要は、このことで悩 ⌒ヽ‐/⌒フ
まないことです。どちらでも決めたことでスッキリといきま ⌒( ミ彡
しょう。 _」」
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(2009年1月10日配信)
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│第2回│ ■ 決めた受験校がこれでいいのか不安になったら?
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(2008年12月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 一度決めた第1志望校は変更するべきではないのか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
この秋には親子で納得して第1志望校を決めたはずだったが、お子さんの
成績が思うように伸びず、入試がかなり近づいてきた今になって、やっぱり
志望校を変更したほうがいいのではないかと思い悩んでいる人もいるのでは
ないでしょうか。
一般的には、一度決めた第1志望校は、たとえ入試直前の公開テストの結
果が悪く、合格可能性がかなり低くても、なるべく変更しないほうがいいと
いうことがよく言われます。でも、これはケース・バイ・ケースで、やはり
変更しないほうがいい場合もあれば、思い切って変更したほうがいい場合も
あります。その子の状況によって違うのです。
かつて私の塾に桜蔭か女子学院かというレベルの子がいたのですが、その
ご家族は小学校2年生のときから学校説明会に行ったり、文化祭に行ったり
して、親子共々女子学院に恋焦がれていました。ところが、6年生の11月中
旬頃になって、「この子は女子学院に向いていないんじゃないか」とお母さ
んが相談をしてきました。「女子学院に行ったら埋没してしまうんではない
かと疑問が生じてきた」というのです。それで結局、決め手になるのは過去
問だろうということで、過去問をやってみて、その結果で第1志望校を決め
ることにしました。
すると、女子学院の問題の合格ラインは推定で8割と言われていますが、
この子は6割しか取れませんでした。ところが、桜蔭の問題をやると、6割
5分できれば合格だろうと言われているところで、算数も国語も7割5分取
りました。偏差値的には、女子学院だってあと1、2ポイント足りないぐら
いなのに、女子学院よりさらに2、3ポイント上の桜蔭に受かるのは難しい
だろうと思うのがふつうでしょうが、この子の場合、過去問の直近3年をや
ってみて、桜蔭のほうが絶対向いているのが明らかでした。
それで、私はお母さんに「桜蔭では不足ですか?」と言いました。すると、
「いえ、桜蔭に入れるのであれば」という答えで、5年間本人もご家族も恋
焦がれていた第1志望校を12月初めにがらりと変更しました。そして、桜蔭
に見事合格したということがありました。
※ 第1志望校に疑問を感じたら、原点に戻って考え直そう
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
皆さん、余裕のある4年生、5年生のときから学校説明会や文化祭に行き
ますが、余裕のあるときには、学校がきれいだったとか、制服がかわいかっ
たとか、雰囲気がよかったとか、その程度のことしか思い至らず、実は案外
何にも考えていないものです。ところが、仕事でも何でもそうですけど、人
間は追い詰められて余裕がなくなると、パッとひらめいたり、気づいたりし
ます。論理で出てくるのではなくて、突然はたと、この学校はわが子に合っ
ていないのではないかと気づくんです。
4年生、5年生という余裕のあるときの感覚というのはあまり意味がなく
て、土壇場になって子どもの学力やテストの結果といった現実を突きつけら
れて、初めて本当に突き詰めて考えるようになります。
でも、受験というのはそういうものですから、それでいいので、そういう
疑問が生まれたら、その疑問を解消すべく、もう一回原点に戻って、その学
校が向いているか向いていないか考え直してみましょう。そして、やはり向
いていないと思えば、そのときは第1志望校を変更することを躊躇するべき
でないと思います。
ただ、第1志望校を変えるということで、子どもにショックを与えないよ
うにしなければなりません。挫折感とか敗北感とかを持たせないこと、ぼく
はもう無理なんだと後ろ向きにさせないことが重要です。
それには、「志望校を変えるけれども、きみにはこっちの学校のほうが向
いているし、むしろ将来を考えたらこっちの学校を選んだほうがいいと思う
よ」といった周りのアドバイスや言葉が必要です。親としては、ボールの落
とし所をどこに持っていくのかということを考え、塾の先生と相談しながら、
先生からもそうした説得をしてもらうように根回しをしておきたいものです。
※ 安易に安全校を受ければいいというものではない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
第1志望校は変更せず、その代わりに安全校を受ければいいのではないか
という意見もあるでしょう。アドバイスの本を見れば、偏差値で5ポイント
上がチャレンジ校、5ポイント下が安全校で、難易度の差をつけて受けろと
いったことが書いてあります。確かにこういうやり方はわかりやすいと思い
ますが、私の考えは全然違います。ただ偏差値を下げれば安全校になるわけ
ではないと思うんです。
たとえば「50」という偏差値の力を持っているなら、5ポイント下の偏差
値「45」の学校を考えるのではなくて、「50」の学校に十分合格できるはず
だし、さらにそれより上の学校の合格をねらってもいい。子どもがどこに行
きたいのか、本当に行きたいならば頑張ろうと励まして、モチベーションを
高めていく。挑戦する意欲があるならば、だからこそ逆に「50」の学校を死
守しなければならないよ、と責任を持たせる。これが私の考えです。
偏差値を超えて、その志望校との向き合い方をより吟味してつめていき、
どこでどう勝機を作るかです。算数が苦手だって、総合点で合格するのだか
ら、それを他教科でどうカバーできるか、過去問を見ながら分析していくこ
とで勝機を作れます。
それに、安全校といって偏差値を大きく下げて受ければ、全員が合格でき
ますから、塾にとってはありがたいでしょうが、その子の受験という原点を
もう一回振り返ったときに、安全校を受けることにどういう意味があるのか
考えてみる必要もあります。その子にとって受験の始末をつける、受験の卒
業証書をもらうという意味で、1校合格をもらうということは確かに意味が
あるでしょう。
でも、受かればどこでもいいというものではなくて、ただ安全校というこ
とだけで受けて受かってもあまり嬉しくないものです。やっぱりその子にと
って、この学校にちゃんと合格したよと喜べる学校に受かって、そして合格
したことをみんなで祝福してあげる、喜んであげる、ほめてあげることで、
その子は本当の卒業証書がもらえて、次につながっていくのです。
仮に、志望校を高めて不合格という結果になったとしても、最後まで挑戦
した、頑張った自分を実感しているならば、その残念な結果を糧にして大き
く成長することができます。新たな課題が生まれて、その子のモチベーショ
ンを下げることには決してなりません。ここに、合格・不合格というはっき
りした結果が出る受験に挑むかどうかの価値を見出すことができると思いま
す。
それだけに、子どもと向き合う親御様や先生の大人としての態度が求めら
れます。子どもを信じることが大切です。だから、安易に偏差値を下げて学
校を選ぶのではなく、薄氷を踏む思いだけれども、きわどい
線、ぎりぎりの線を勝負していく覚悟が親子共々必要だと思 /⌒ヽ彡
います。でも、そういう気持ちで最後まであきらめずに臨め <)∂ ゝ
ば、入試直前までに実力がついていくし、そうした覚悟がで ⌒ヽ‐/⌒フ
きているご家庭は、たとえ苦戦した場合でも最後の最後で何 ⌒( ミ彡
とか合格を勝ち取るものなのです。 _」」
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(2008年12月10日配信)
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│第1回│ ■ 過去問対策はどう取り組めばいいのか?
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(2008年11月) ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜
※ 過去問対策は受験作戦の最大の決め手
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
受験勉強もいよいよ追い込みというこの時期、保護者の方からよく聞かれ
るのが、過去問対策にどう取り組めばいいかということです。
私は、中学入試というのは、それぞれの学校の“採用試験”だと考えてい
ます。それぞれの学校には独自の建学の精神や誇りといったものがあります。
そして、それに磨きをかけて貫いていくにはこういう子を採りたいというも
のがあるはずで、入試問題にはそうした思いが込められます。
つまり、その学校がどういう学力の子、どういう考え方をする子、どうい
う発想をする子、どういう事務処理能力を持っている子を採りたいのかとい
うことを明らかにして、公表しているのが入試問題なのです。ですから、過
去の入試問題、いわゆる過去問の対策はその学校を知るうえでいちばんの手
がかりになりますし、最終的に合否を判断する重要な決め手になると位置づ
けています。
模擬試験も学力を測るうえで無視はできません。どこがどうやれていない
か、学力の不足をあぶり出しにしてくれるのですから、その結果は謙虚に受
け止めるべきでしょう。でも、入学試験は単元到達度確認テストではありま
せんから、満点を取る必要はありません。たとえば理科だったら4分野から
出るのですから、物理が苦手だったらそれは捨てたっていい。残りの3分野
でも75%あるのですから、そこで60点取れればいい。そういう割り切りが必
要です。
必ず取れる問題というのが何割かあるので、さらにそれを5%増し、10%
増しにしていこうという作戦によって、合格点まで持っていくことが可能で
す。そして、こうした作戦を行うには、模擬試験の偏差値よりも、過去問が
どのくらい解けるかというデータのほうが重要です。合否を占う、また、ど
こを受験するかといったことの最終的な決め手になると思います。
子どもの志望校への思いが固まっていくのも、過去問への取り組みが始ま
ってからです。最初の段階では過去問はほとんどできません。特に記述問題
などは白紙です。何とか書けといっても書けません。でも、それと向き合っ
て何度も取り組んでいるうちに答案が変化して、鉛筆の色が濃くなってくる、
つまり白紙だったものが書くようになってきます。稚拙でも、言葉の順番が
グジャグジャでも、一生懸命答えようとしているというのが読み取れるよう
になります。そういう変化の中で、志望校への気持ちが研ぎ澄まされていっ
て、その時点ではまだ実力が足りないとしても、その足りない部分を埋めて
いこう、がんばってみようという気持ちが育っていくのです。
※ できれば過去問対策は塾に任せたほうがいい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そういうことで、私の塾では過去問対策をとても重視し、塾生それぞれの
志望校対策として、6年の9月から土曜と日曜に時間をとって、個別に過去
問対策を行っています。ただし、私の塾では、家庭で過去問対策に取り組ま
せるということをしていません。ご家庭で購入した過去問はすべて塾で預か
って、塾の中でやることにしています。そうしないと、いろいろ問題が起き
ることが多いからです。
過去問を塾でしっかり管理しないと、家で過去問をやってきたとか、自分
で採点したとか言って過去問の答案を持ってくる子どもが出てきます。そう
いう場合、必ず点数がこれまでよりグーンと上がっています。「こんなにで
きた!」と言って、子どもは喜んで答案を見せに来ますが、ふだんのその子
の学習状況を見ている私たちプロには、それがどういうことかわかります。
事前に解答を見てしまったり、採点の際に答案を書き換えたりしてしまう
んですね。いい子であればこそ、そして親孝行でまじめな子であればこそ、
こういう欺瞞的なことをしてしまうものです。親が問題をきちんと管理して
いるつもりでも、子どもは解答のある場所を見つけ出します。また、親は親
で、過去問の出来が悪いと子どもが自信をなくすとか、受験したくないと言
い出すといったような強迫観念があって、事前に問題を見せるなどしてズル
をさせてでもいい点を取らせて、ご機嫌を取ろうとしたりします。親子間で
はどうしても過去問の扱いが甘くなってしまうのです。
過去問対策においては、合格点に30点足りない、40点足りないということ
を冷静に受け止めて、あとはどこで点を取れるかということを冷静に分析し
て、子どもと一緒に建設的に合格作戦を積み上げていくことが求められます。
ところが、親子の間ではそのように冷静に答案を検証するということがなか
なかできません。ですから、第三者が入って調停したほうがいいということ
で、過去問対策は塾のほうで見るようにしているのです。
それにもう一つ。合格最低点を学校が公表していない場合もありますし、
公表していても配点までは公表しておらず、配点は業者の推定ということも
多いです。この点を冷静に考えても、自己採点した点数に気をもむよりは、
塾の先生の経験を頼られたほうがいいと思います。
※ 家庭でやるなら“自分に厳しく”の意識で
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
したがって、過去問対策はできれば塾に任せたほうがいいというのが私の
考えです。塾に完全に任せることができない場合もあるでしょうが、その場
合でも採点だけは塾に持って行ってお願いするほうがいいでしょう。お父さ
んやお母さんはなるべく採点しないほうがいいと思います。
もし家庭で採点するなら、むしろ“自分に厳しく”という意識を持たせて、
お子さん自身に採点させるほうがいいでしょう。採点では勇気をもってバツ
をつけることが大事です。バツをもらったところから、勉強が始まると思う
ので、過去問でも自分に厳しくバツをつけて、答えを見てやり直すこと。そ
れでわからないところは、塾の先生に答案を持って行って聞くようにすると
いいでしょう。
過去問の取り組み方は、参考に私の塾のやり方を教えておきましょう。取
り組む順番は、第3、第2、第1志望校というように、また、年度も古い年
度から新しい年度へ進むように、遠くから近くへ、城の本丸に向かって、外
堀を埋めていくようにします。
過去問の最初の取り組みは、直近の3年分より古い年度の問題を、Aパタ
ーン(本試験通り、1年毎の問題を指定時間で解答する方法)で1年分やり、
傾向やレベルを実感したうえで、次はBパターン(同分野・同単元・同内容
などの類似問題ごとに数年分を横断的に解答する方法)で、直近の3年分よ
り古い年度の問題を4・5年分ぐらい連続で解き、さらに似たような傾向の
問題にも取り組み、各分野・単元の問題を攻略していきます。そうやって実
力をつけたうえで、12月以降に第1、第2、第3志望校の直近の3年分をA
パターンで取り組み、受験校選定の最終判断の材料とします。あくまで取り
組み方の一例とお考えください。
ただし、過去問は採点をして何点だったという評価も重要 /⌒ヽ彡
ですが、どうしても合格したいのであれば、それ以上に振り <)∂ ゝ
返って検証して、問題を“研究”することが大事です。過去 ⌒ヽ‐/⌒フ
問はやりっぱなしではなく、やった後に答えを横において、 ⌒( ミ彡
見ながらでももう一度解き直すようにするといいと思います。 _」」
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《藁谷雅喜(現代教育学院・代表)》 1995年に中学受験専門塾「現
代教育学院」を設立し、文京区音羽の地で、日夜“合格する子”を育
てる、塾講師生活25年の“合格請負人”。
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(2008年11月10日配信)
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