●お母さん、残りの1か月は褒めて煽てて、
あとは健康管理!

■『首都圏/中学受験ニュース』2000年12月10日配信号収録=第1回=■
 
 中学受験にとって、子どもたちが感じる母親の存在感は、良くも悪くも とても大きい。ことに6年生であれば受験を控えていろいろと敏感にもな り、その存在感はこれまで以上に大きく、重くのしかかってくると思う。

 先日、私の担当するクラスの生徒に作文指導として『私のお母さん』と いうテーマで書かせてみた。もちろん、作文を通しての文章表現力や構成 力、国語の理解力を伸ばすことが目的だが、受験までの残り少ない直前の 時期に子どもたちの目に映る母親像を知り、保護者会のネタにしようとも 考えたのである。

 お母さんの方からの子どもの話は保護者会・個人面談などでもよく耳に 入る。家では、勉強の取りかかりが遅いとか、宿題以外はあまりやってい ないようだ、とかゲームばかりしているとか、よく寝ているとか……。こ ちらも「やらないことには合格は難しいですね」などと答えるものだから、 お母さんもよけいにがんばらせようとする。そんな中で子どもたちは、親 の期待を逆にどう受け止めているのか。

 ある女の子は「母は中・高・大学と進学して立派な就職をしてほしいと 思っている。親の期待に応えられるかどうかは不安だが、悪い人間になら なければよい」と書いていた。またある女の子は、中学受験も含めて自分 にやりたいことをやらせてくれることへの感謝と、自分が精一杯やること が母に対する期待へのお返しになる、と書いていた。

 男の子は怒られたことやすぐに「勉強しなさい」と言われることや、期 待に応えられるかどうかの不安についてふれている場合が多い。

 期待されているという思い、母親に対する感謝の思い……いつもは面と 向かっていえない気持ちも、作文の中では素直に表現できている。ただ、 「期待に応える」という思いをひとつ取り上げてみても、女の子は母親に 対して時に姉妹のような、友だちのような感情を抱いているようにも思え るが、男の子にはそういった部分があまり見られない。母と娘、母と息子 の関係にはやはり違いがあるからなのだろう。

 だから、特にこの時期には6年生のお母さん、「残りの1か月は、褒め て煽てて、最後にもうひとがんばりしてもらいましょう。」と言いたい。 「模擬試験の結果や、子どもの性格として短所と感じている部分には少々 目をつぶってあげてください。」とも言いたい。塾という現場から、子ど もたちの姿を毎年見ていると、子どもは親の期待を十分に感じていると思 う。今、残された期間で親ができることは、励ますことと健康管理だけだ と思う。

 残された時間はわずか。子どもたちにはもちろんのこと、お母さんたちも「がんばれ!」子どもの成長にとって中学受験はまだまだ人生の第一ゲート通過といったところ。そのゲートをもう少しで無事通過できるところなのだから。